この春買うべきビジネスバッグは「薄く小さく」

新生活がスタートする春こそ、心機一転、毎日使うかばんも刷新して迎えたい。そこで今回から3回に分けて、かばんの最新トレンドを紹介する。

第1回に取り上げるのはビジネスバッグ。ビジネスシーンにおいて、バッグは単なる仕事道具だけでなく、持つ人の印象を大きく左右する“顔”となるアイテムだ。今、ビジネスパーソン、中でも30代に支持されているバッグはどんなものなのか、三越伊勢丹のかばん担当バイヤーに話を聞いた。

最近の人気はブリーフケース

数あるかばんの中で、ビジネスパーソンにとってもっとも身近なのが毎日使うビジネスバッグだろう。ここ数年はトートタイプの革かばんなどオン・オフ兼用のバッグが人気だったが、最近はブリーフケースがよく売れているという。

「今はスーツ着用時はブリーフケースで、プライベートではカジュアルなバッグと、服装に合わせてアイテムを使い分ける方が増えています」(三越伊勢丹 紳士・スポーツ統括部 かばん・革小物バイヤーの高塚佳伸氏)

ブリーフケースと聞いて想像するのは、四方にパイピングが入ったスクエアタイプの分厚いナイロンバッグ。しかし最近は「定番のスクエアタイプも売れていますが、30代の方には薄マチで見た目がシャープなブリーフが人気です」(高塚氏)。先輩方には失礼だが、確かにスクエアなブリーフはどうしてもオヤジくさいイメージがある。ファッションへの関心が高い30代~40代前半のビジネスパーソンは、スリムでスタイリッシュなブリーフケースを求めているのだ。

しかし薄マチのバッグで荷物は納まるのか。

実は、かばんに入れる荷物がそこまで多くないビジネスパーソンが増えていることも、薄マチのビジネスバッグが支持されている理由として挙げられるという。

書類のデータ化やデジタル機器の小型化が進む現在、一昔前と比べて出勤時の荷物は格段に減っている。さらに30代においては、家に仕事を持ち帰ることも少なく、仕事とプライベートをしっかり分け、ワークライフバランスを実践している人も多いらしい。

また薄マチと聞くとサイズ自体も小さな印象を受けるが、使用頻度の高いA4書類は折らずに入るサイズ設計で、13インチのラップトップPCまで収納できるものが主流。ビジネスバッグとして必要な収納力は確保している。さすがにスクエアの分厚いブリーフに比べると容量は劣るが、そもそも入れる荷物が少ないのであれば、軽くて持ち運びに便利な薄マチのバッグが支持されるのは当然だろう。

そこで今回は薄マチのビジネスバッグの中から、特に注目のブリーフケース2点を紹介する。細部を見ていくことで、今買うべきバッグの条件が見えてくるはずだ。

シャープな“三角マチ”ブリーフが人気

ペッレ モルビダ「三越伊勢丹別注のブリーフバッグ」。薄くてハリのある革を使用したオールレザーモデル(写真左 5万2000円)とボディにナイロン、ボトムとハンドルにレザーを採用したモデル(4万8000円)がある(価格は税別)

ペッレ モルビダは、著名ファッションディレクターの干場義雅氏が手がける日本のブランド。国産の上質なモノ作りにこだわっている。ご覧の通り、インポートブランドのような洒脱(しゃだつ)なデザインで、ファッション感度の高いアラフォーから絶大な人気を誇る。

今回紹介するのは三越伊勢丹別注のブリーフケース。底のマチ幅は広いが、上部にかけて幅が狭くなっている“三角マチ”が特徴だ。開口部にはマチがほとんどなく、全体的にシャープな印象を与える。さらに細かな型押しが入った素材も、シャープ感を演出するのに一役買っている。「サイズや素材、デザインは違えど、多くのブランドの“三角マチ”ブリーフが売れています」(高塚氏)

横から見ると現在のトレンドであるという“三角マチ”がよくわかる。ボトムに十分なマチ幅があるため、容量を犠牲にすることなくスリム化している
裏地はマイクロスエードで、ポケットはウレタン入り。デジタル機器の収納にも便利

発想はハンドル付きクラッチバッグ

形状からステファノマーノに別注した、三越伊勢丹こだわりの小型レザーブリーフ。カラバリも豊富なのも魅力。どうせなら春らしい色モノに挑戦したい。各5万3000円(税別)

もっと荷物が少ない人に人気なのが、さらに小型のブリーフケース。三越伊勢丹別注のステファノマーノのレザーブリーフは、まるでクラッチバッグのように抱えて持てるほどの薄マチ仕様。サイズ自体もかなりコンパクトな設計だが、A4書類がちゃんと入って、ハンドル付きなのでしっかり提げることができる。れっきとしたブリーフケースなのだ。

薄マチでコンパクトだが、ブリーフケースとしての機能をしっかり果たす。提げて持てて、A4書類も収納できる

ステファノマーノはイタリアのガスプコム社が設立したファクトリーブランド。同社はもともと有名ブランドのバッグのOEM(相手先ブランドによる生産)を手がけていたため、縫製の美しさや強度など仕立ての良さは折り紙付き。日本はもちろん欧州でも高い注目を集める同ブランドに、三越伊勢丹は形状から素材まですべてを別注して小型レザーブリーフを完成させた。

「このブリーフの発想は、ハンドル付きクラッチバッグなんです。クラッチは相変わらず売れているのですが、“やっぱりハンドルが付いているほうが便利”という声があったので作りました」(高塚氏)

「ビジネスでクラッチなんてとんでもない!」という意見もあるかと思うが、これがなかなかスーツにも似合う。フラップが付いているので、一般的なクラッチバッグよりもクラシックでフォーマルな印象があり、ビジネスでも十分対応できる。実際、「このバッグ一つで出勤することを想定している」(高塚氏)とのこと。

最近はこれくらいの容量で十分という人も多く、クラッチバッグで出勤する人も以前より増えているそうだ。「ただクラッチは電車通勤で長時間立っているとつらい。持ちやすいハンドル付きにしたのは、クラッチバッグで出勤している方への提案でもあります」

またフラップ付きのブリーフケースは、ブライドルレザーやオイルドレザーを使用した重厚なモデルが主流の中、シュリンク調のレザーを採用している点にも注目したい。軽い雰囲気に仕上げてシャープさを高めているため、30代のビジネスマンに向いている。

シャープに見せる柄を選ぶ

以上、伊勢丹の人気ビジネスバッグ2つを紹介したが、スリムでスタイリッシュに見せるには、バック表面の柄も重要になる。平たんなスムースより、凹凸のあるシボが付いているほうがシャープな印象に見える。

これらの条件を満たすバッグをオンタイムに取り入れることで、洗練されたスーツスタイルが実現できる。仕事道具がコンパクトになってきた現在、“デキる”ビジネスマンを目指す30代は、この春、スタイリッシュな薄マチのブリーフケースを探してみてはどうだろう。

次回は、ジャケット+パンツといった「ビジネスカジュアル(=ビジカジ)」に最適な仕事かばんを紹介します。

(ライター 津田昌宏)