使い放題に低速専用…格安SIMは「自分仕様」で選ぶ

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大手の通信会社よりも通信費を抑えられる格安SIM。参入する事業者が増えるにつれて、どのSIMを選べばいいのか、わかりにくいのが悩みどころだ。そこで、格安SIMの種類と料金プランの違いはどこからくるのかについて、改めて整理してみた。さらに自分に合った格安SIMの選び方も紹介する。(前回はこちら

格安SIMの種類は大きく分けて3つ

格安SIMはいろいろな通信会社からさまざまな名称で提供されているが、基本的な機能によって大きく3つの種類に分けられる。

1つ目は、音声通話対応SIM。携帯電話番号で電話の発着信やSMS(短いテキストの送受信機能)を利用したり、データ通信を使ってインターネットにアクセスしたりできるものだ。

2つ目は、データ通信専用SIM。電話の発着信やSMS機能は使えず、データ通信だけが利用できるもの。

そして3つ目は、SMS機能付きデータ通信SIM。データ通信専用SIMにSMS機能だけを追加したものだ。

SMS機能付きに音声通話対応、格安SIMの種類と特徴

機能の有無によって、月額料金も異なる。例えば、格安SIM大手の「OCN モバイル ONE」の場合、音声通話対応SIMはデータ通信専用SIMより700円高く、SMS機能付きデータ通信SIMは120円高い(本文中の価格はすべて税別)。

価格差は通信会社によってさまざまだが、一番安いデータ通信専用SIMを基準にした場合、音声通話対応SIMはおおむね600円~800円、SMS機能付きデータ通信SIMは120円~150円ほど割高となっている。

また、音声通話対応SIMの通話料は、30秒当たり20円の従量制がほとんどだ。ただ、前回も紹介したように、ニフティの格安SIM「NifMo」が提供する「国内かけ放題」(月額1300円)や、楽天の「楽天モバイル」が提供する「5分かけ放題オプション」など、定額制の通話オプションを提供している通信会社もある。

データ容量の差でプランが異なる

格安SIMの料金プランは、データ容量の違いによっても月額料金が変わる。データ容量とは、LTEの高速データ通信を利用できる通信量の上限を指す。

前述のOCN モバイル ONEでは、毎月3ギガバイトまで高速データ通信が利用できる「3GB/月コース」の月額料金は1800円(音声通話対応SIMの場合、以下同)だが、5ギガバイトまで使える「5GB/月コース」は2150円、10ギガバイトまで使える「10GB/月コース」は3000円だ。このように、利用できるデータ容量が増えるにつれて、月額料金も高くなっていく。

データ容量を使い切ると、通信速度が遅くなる

格安SIMでは、データ容量が残っているうちは高速データ通信を利用できるが、容量を使い切ると速度が制限される。OCN モバイル ONEの場合、データ容量が残っていれば、最大受信速度262.5Mbpsの高速データ通信を利用できる。だが、容量を使い切ると、通信速度が最大200kbpsに制限されてしまう。

通信速度が低速に制限された場合、ウェブサイトを開いたりSNSを読みこんだりすることはできても、オンライン動画の再生やアプリのダウンロードといった容量の大きな通信は厳しい。使い切ったデータ容量は翌月(料金プランによっては翌日)まで回復しないため、それまでは不便な低速で耐えなければならない。

こうした不便を解消するため、データ容量を追加できる有料オプションを提供している通信会社もある。OCN モバイル ONEも「容量追加オプション」として、500円で0.5ギガバイトを追加購入できるオプションを用意している。

こんな変わり種の料金プランも

格安SIMの一般的な料金プランでは、毎月一定量のデータ容量が与えられる。だが、データ容量の提供方法を工夫した、ユニークな料金プランがある。

例えば、U-NEXTの格安SIM「U-mobile」では、「通話プラス LTE 使い放題」(月額2980円)と「データ専用 LTE 使い放題」(月額2480円)を提供している。これは最大受信速度225Mbpsの高速データ通信が使い放題になるプランで、データ容量に上限が設けられていないことが特徴だ。ただし、他の利用者に影響を与えるほど大量の通信を長時間継続した場合、通信速度を制限する場合がある。

また、プラスワン・マーケティングの格安SIM「FREETEL SIM」には、料金プランが「使った分だけ安心プラン」の1種類しかない。これは、利用したデータ容量に応じて料金プランが毎月変動する、多段階制の料金プランだ。音声通話対応SIMの場合、通信量が100MB以下なら999円と安く抑えられる。1ギガバイトまでなら1199円、3ギガバイトなら1600円と増えていき、上限は10ギガバイトの3170円となる。

前述のOCN モバイル ONEにも、データ容量が月ごとではなく日ごとに回復する、少し変わったプランがある。毎日110MBまで高速データ通信が利用できる「110MB/日コース」(音声通話対応SIMは月額1600円)と、170MBまで利用できる「170MB/日コース」(同2080円)の2つだ。1カ月当たりのデータ容量に換算すると、それぞれ3.3ギガバイト、5.1ギガバイトに相当する。

さらに、データ容量を提供せず、低速通信しか利用できない料金プランもある。楽天モバイルの「ベーシックプラン」では、通信速度が最初から200kbpsの低速に制限されている。その代わり月額料金も安めで、音声通話対応SIMは1250円、データ通信専用SIMでは525円となっている。自宅でWi-Fiが利用でき、スマホの用途は電話、メール、LINE程度に限られていれば、ベーシックプランでも十分だ。

音声通話対応にするかデータ通信専用にするか

格安SIMを選ぶには、まず、用途を明確にするのが肝心だ。

スマホにセットして使うなら、音声通話対応SIMを選んでおけば、電話を掛けたり受けたりできるので使いやすい。番号を変えずに通信会社を乗り換えられる「携帯電話・PHS番号ポータビリティー」(MNP)制度を利用する場合も、乗り換えられるのは音声通話対応SIMのみとなる。

一方、モバイルWi-Fiルーターや通話機能を持たないタイプのタブレットにセットするなら、データ通信専用SIMを選べばコストを節約できる。また、AndroidタブレットにはSMS機能を利用できる機種もある。少し高くなるが、SMS機能付きデータ通信SIMを選択しておけば、LINEやTwitterのユーザー認証に格安SIMの番号を利用できる。

用途が決まったら、次はデータ容量を選ぶ。

大手の通信会社から乗り換える場合は、請求書やサポートサイトで実際の通信量を確認しておくと役に立つ。例えば、NTTドコモでは「My docomo」で当月と前月の通信量をチェックできる。例えば、1カ月当たりの通信量が3.5ギガバイトだった場合、格安SIMでは毎月4~5ギガバイト程度の料金プランを選べばいいとわかる。

筆者の通信量を実際にMy docomoで確認したところ。自宅兼仕事場のWi-Fiを利用することが多いため、2016年1月は0.31GBしか使っていなかった

ただ、今までガラケーを使っていた人は、スマホに変えることで通信量の増加が予想される。初めての携帯電話に格安スマホを選んだ人の場合、過去の通信量を参考にできないのが悩みどころだ。

毎月どれくらいデータ容量を消費するのかわからなければ、多段階制の料金プランを選べるFREETEL SIMのような格安SIMを選ぶのが一つの方法だ。通信量が少なければ安くて済むし、毎月10ギガバイトまではデータ通信が利用できる。プラスワン・マーケティングではFREETELのブランド名でSIMフリーのスマホも販売している。SIMと一緒に購入できる買いやすさも、初心者にうれしいポイントだ。

自宅でインターネットプロバイダーに加入していれば、そのプロバイダーが提供している格安SIMを選ぶことで、料金が安くなる場合がある。例えば、BIGLOBEの格安SIM「BIGLOBE SIM」では、すでにBIGLOBEの接続サービスを利用している場合、月額料金が200円割り引かれる。

また、前回も触れたように、格安SIMや格安スマホを提供する通信会社には、店舗を構えていないところが多い。電話やウェブサイトでのサポートが中心となるが、格安SIMの設定方法がわからなかったり、万が一スマホが故障したりしたときに、スムーズな対応を期待できる通信会社を選んでおきたい。

例えば、楽天の「楽天モバイル」では、新規申し込みの場合、オペレーターによる設定や利用方法の電話サポートと、故障時に4000円~7000円(機種によって異なる)で交換機を手配できる端末補償をセットにした「端末補償・スマホサポートパック」(月額800円、新規契約時に申し込みが必要)を提供している。このような、通信会社が提供するサポートサービスにも注目したい。

「2年縛り」はないが、最低利用期間はある

最後に、もしも格安SIMに納得できず、解約する場合について触れておこう。

大手携帯電話会社では、2年単位の長期契約と引き換えに、基本料金の割引サービスを受けられる。2年ごとに1カ月間の更新月が設けられており、この期間以外に解約すると9500円の解除料が掛かるため、「2年縛り」とも呼ばれている。

格安SIMに2年縛りはないが、契約から一定期間のうちに解約すると、解除料が掛かる場合が多い。通信会社によって異なるが、期間はおおむね6カ月~12カ月、解除料は6000円~9800円が相場だ。

なかには最低利用期間を設けていない通信会社もあるが、代わりにMNP制度の転出手数料が契約から1年以内は1万円以上掛かったりする。格安SIMには縛りがないとはいえ、契約してすぐに解約する場合は、それなりのお金が掛かると承知しておきたい。

次回(「大手キャリアから格安SIM乗り換え、5つの注意点」)では、大手の通信会社から格安SIM・格安スマホへ乗り換える上での注意点をピックアップしてみたい。

(ライター 松村武宏)

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