好かれるリーダーになる、後輩・部下へのモノの言い方

日経ウーマン

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あなたの話し方、間違ってませんか。困った後輩や部下といい関係を築くための、モノの言い方、接し方をシーン別に紹介します。

仕事を任せたいのに、責任感の足りない後輩や部下。ちゃんと仕事してほしいと、ついつい口うるさくなってしまう。本当は、叱りたくないのに──。

「実は、『そんなやり方じゃダメでしょ』とダメ出しをすればするほど、相手は『これ以上、注意されたくない』と守りに入り、言われた通りのことしかしなくなります」と、組織開発コンサルタントの守屋智敬さん。

そうならないためには?

「相手の心の本音に気を配ることです。例えば、後輩がイヤイヤ仕事をしているように見えるなら、『しっかりやってよ』と注意する前に、なぜかを考えてみる。仕事量が多いのかもと思ったら、『たくさん任せたから大変だよね。ごめんね』と励ます。すると相手は『私の気持ちを分かってくれた』と感じ、前向きさを取り戻せます」

欠点を探すより、いいところに目を向けることも大切。「取引先に確認メールを送ってくれたのね、助かるわ。ありがとう」など、具体的に褒めよう。

「相手の心の本音に寄り添ったり、いいところをこまめに伝えたりするうちに、信頼関係ができていきます。『この人の仕事なら頑張ろう』と思ってもらえると、チームの雰囲気が変わりますよ」

シーン別・困った後輩&部下にはこの言葉を掛けて

1.後輩&部下の不安を和らげる言葉

仕事を抱え込み、行き詰まっているのを感じたとき

× 1人で抱え込まないで、周りに相談して。

○ Aさんに相談してみたら? 私、言っておくから。

「教えてください」がなかなか言えない後輩にとって、「私、言っておくから」の一言はとても大きな助けになる。

確認不足を指摘するとき

× ここ抜けてるよ。これで3回目だよね。

○ 間違ってしまいがちなところだけどこの抜けがあると、お客様が困ると思うの。

「これで3回目だよね」の裏には、「ミスされて迷惑なのは、私なの」という本音が見え隠れする。「お客様に迷惑をかけたくない」という視点で伝えてみて。

後輩&部下がミスをしたとき

× どうしてこうなっちゃったの?

○ 大丈夫だから。あなたも大変だったわね。

ミスが発覚した直後、一番動揺しているのはミスをした本人。追い打ちをかけるのではなく、まずは「大丈夫だから」と安心させてあげたい。

「自分にはできません」と言ってきたとき

× できるはずだよ。もうちょっと考えみて。

○ 任せ過ぎちゃってごめんね。

「できません」の奥にある、不安な気持ちをまずは受け止める。リーダーから「ごめんね」と言われると、「私も言い過ぎました。もう少しやってみます」と態度が軟化しやすい。

2.やる気を引き出す言葉

重要な仕事を任せたとき

× (後輩や部下からの報告をただ待つ)

○ あの件、その後どう?

慣れない仕事や重要な仕事を任せたときは、「気になっていることはない?」とリーダーから聞きに行き、相手が相談しやすい状態をつくるといい。

仕事の質を上げてもらいたいとき

× いつも言ってると思うんだけど。

○ ここを変えたら、もっと良くなるんじゃない?

後輩のできないことを指摘する言い方は、やる気を失わせるだけ。どうすればもっと良くなるのかを、前向きな言い方で具体的に伝えて仕事の質を上げて。

仕事を頼むとき

× 今、空いてるよね。この仕事やってくれる?

○ あなたも忙しいと思うけど、この仕事はあなたにやってほしいの。

やらされ感を与えないためには、「あなただからお願いしたい」と自尊心を満たす言い方を。「この仕事は私じゃなきゃ」と、責任を持って取り組んでくれる。

仕事の「やらされ感」が強いとき

× この提案書、あなたの仕事だって分かってる?

○ この提案書で、取引先のAさんを喜ばせたいね。

やらされ感を抱いているのは、その仕事をやる意義が理解できていないから。その仕事をすることで、誰の役に立つのかを具体的に伝えよう。

3.「安心できるチームだな」と感じてもらう言葉

みんなに掛ける言葉

× 分からないことがあったら、私に何でも聞いて。

○ 私だけじゃできないから。言ってくれてありがとう。

リーダーがすべての答えを持っていると思われると、メンバーは何も考えなくなる。仕事はチームでするもの。1人1人の貢献に感謝を伝えると一体感も出る。

後輩のミスを上司から指摘されたとき

× この件、後輩のAさんならできると思ったんですが。

○ 申し訳ありません。すぐ対応します。

ミスをした後輩の名前を出すことは、「私の責任ではない」と言っているのと同じ。後輩のミスも自分の責任として対応する態度が、信頼につながる。

自分がミスをしたとき

× 私の間違いでは、ないはずだけど。

○ うわっ、間違っちゃった。私、ホント、抜けてるんだよね。

リーダーが失敗や抜けを見せることで、周りも「失敗しても大丈夫なんだ」と安心する。結果的に、積極的な提案や発言が出やすくなる。

上司に報告するとき

× 問題ありません。抜かりなく進んでいます。

○ 今、こういう状況なんですけどアドバイスをいただけませんか?

自分の上司との信頼関係をつくることは、チームのメリットにもなる。上司は部下から頼られると、自分の役目を果たせるのでうれしく感じる。時には上司に相談したり頼ったりして、いい関係を築こう。

この人に聞きました

守屋智敬さん
モリヤコンサルティング代表。組織開発コンサルタント。人材コンサルティング会社で16年間にわたり、2万人以上にリーダーシップ研修を行ってきた。内面から行動を変えるアプローチを得意とする。15年に独立し、同社を設立。

[日経ウーマン 2016年2月号の記事を再構成]

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