10万円の「電子ペーパー」で紙の山はなくせるか
膨大な紙の書類があふれる仕事場。これをペーパーレス化する目的で開発されたのが、「デジタルペーパー DPT-S1」(ソニー)だ。電子ペーパーを採用し、PDF文書の閲覧や手書きメモ機能に特化したのが特徴。法人向けに販売されていたが、2014年末から直販サイトのソニーストアで個人でも買えるようになった。価格は税込み10万円程度と破格の高さだが、果たしてそれほどの価値があるのか。実力を見た。
結論として、薄さと軽さは圧巻で、電子ペーパーの恩恵を随所に実感できる。A4書類をほぼ原寸で映せる大画面を備えつつ、厚さは約6.8mm、重さは約358gを誇る。同サイズの液晶端末は厚さ10mm以上、重さ800g前後のものが多く、差は歴然だ。さらに視認性も秀逸で、視野角が広く、印刷物と同じく光の反射を利用して表示する原理のため、外でも見やすかった。
"ノート"としても優秀だ。スタイラスペンの書き味は上々で、紙に近い印象。筆記の追随性も高い。ペンの芯は交換でき、「カリカリした書き味やしっかりとした書き味など、好みのものを選べる」(ソニー)という。マーカーとして使うこともできる。
一方、割り切りが必要な面もある。無線LANでウェブ閲覧は可能だが、表示は遅かった。また、PDF以外のファイルは閲覧できない。
とはいえ、文書閲覧に最適な大きさや見やすさ、携帯性を兼ね備えた端末は今のところ他にはない。高価だが、膨大な資料や書類を扱う人には一つの答えといえる。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2015年9月号の記事を再構成]
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