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うつに効く「運動」「睡眠」 生活リズムを整える

日経ヘルス

2016/3/13

PIXTA
 ストレスが多く、いつも不安。気力が低下し、集中できない…。そんな悩みを抱えている人に朗報。うつ症状は、食事で改善できることが分かってきた。うつ病の予防や改善法を3回に分けて解説する。3回目は生活習慣。運動や規則的な睡眠は、うつの改善に効果的だ。
うつ病患者202人を「トレーナーのもとで運動」「自宅で運動」「抗うつ薬服用」「偽薬服用」の4群に分けた。16週間後、症状がなくなった人の割合(寛解率)は薬で47%。運動群もほぼ同等の結果だった。(データ:Psychosom Med.;69 ,587-596, 2007)

 運動はうつに効く。「運動量が少ない人はうつ病になるリスクが高く、運動をするとうつ病が改善するという報告も多い。動物の研究では、脳の神経栄養因子が増えることも確認している」と国立精神・神経医療研究センター神経研究所の功刀浩部長は話す。実際、運動療法の効果は抗うつ薬とほぼ同等という研究結果もある。

 お薦めは手軽にできるウオーキングだ。川村総合診療院の川村則行院長は以前、うつ病患者100人以上に日常的にどのくらい歩くか聞いたことがある。それによると1日平均7000歩以上歩いていた患者では、回復が順調で減薬もスムーズだったという。「歩くと脳の血流がよくなり、セロトニンも増える。また、うつで家にこもりがちだった人には体力の回復にも役立つ」(川村院長)。

 運動は肥満予防にもなる。実は肥満とうつには深い関係があるという。「肥満やメタボになると脂肪細胞から炎症を引き起こす物質が分泌される。この炎症がうつ病の一因であることが最近分かってきた」(功刀部長)。糖尿病や歯周病も炎症を進めるので要注意だ。体を動かそう。

■体内時計を乱さない

(イラスト:いいあい)

 「うつ病の人は生活が不規則なことが多い。とにかく睡眠や起床などの生活リズムを乱さないことが大切」と川村院長は話す。

 まずは睡眠。不安や落ち込みが強いと夜なかなか眠れないが、睡眠不足はうつの大敵。できれば6、7時間は確保を。日中に運動したり、日光をたっぷり浴びたりしておくと夜眠りやすい。もちろん、夜更かしはNGだ。「どうしても眠れない場合は、睡眠導入剤や抗不安薬を処方することもある」と功刀部長。

 朝は決まった時間に起きたい。「カーテンを10 cmほど開けて寝るといい。目覚める前から体が日光を感知して起きる準備をしてくれるので、比較的ラクに起きられる」(功刀部長)

 朝食は抜かない。朝の光と朝食には体内時計を調整する働きがあり、これが狂うと時差ボケのような状態になる。通勤時は日光を浴びながら歩こう。日に当たると体内でビタミンDがつくられる。「ビタミンDが増えると気分がよくなるとの報告も。毎日15分程度は日光を浴びたい」と功刀部長はアドバイスする。

(イラスト:いいあい)

 また、がんばり屋さんはうつ病になりやすいので要注意。「『今日はがんばるぞ!』ではなく、毎日同じリズムで適度にがんばるようにする。残業もほどほどに」と功刀部長は話している。

■「冬季うつ」には日光を

 気分が滅入る、眠い、朝起きるのがつらい、甘いものが無性に食べたい…。なぜか冬場だけ、そんな症状が表れるのが「冬季うつ」だ。「日照時間が短くなることが原因。日中にできるだけ日光を浴びるようにするといい」と川村院長は話す。

 寒いと屋内にこもりがちだが、積極的に外へ出て日光浴の機会を持とう。それだけで気分がよくなる。日が長くなると、うつ状態も自然と改善に向かう。

■この人たちに聞きました

功刀(くぬぎ)浩さん
 国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部(東京都小平市)部長。栄養学的検査や脳画像検査を用いてうつ病などの治療・研究に取り組む。日本精神神経学会専門医。「真面目でがんばりすぎる人がうつになりやすい。“がんばる”と“休む”のメリハリをつけ、食事などの生活を見直すことが重要です」
川村則行さん
 川村総合診療院(東京都港区)院長。国立精神・神経医療研究センター勤務時代から、うつ病の指標となる物質を探索。11年から血液検査でうつ病を診断。「筋肉を使いすぎると“肉離れ”を起こすように、脳の神経を使いすぎるとうつ病になる。悩み過ぎはよくありません」

(ライター 佐田節子、構成:日経ヘルス 黒住紗織)

[日経ヘルス2016年2月号の記事を再構成]

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