うつ病患者の4人に1人が葉酸不足 和食で改善

日経ヘルス

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ストレスが多く、いつも不安。気力が低下し、集中できない…。そんな悩みを抱えている人に朗報。うつ症状は、食事で改善できることが分かってきた。うつ病の予防や改善法を3回に分けて解説する。2回目は、うつを改善させる食事を紹介。ポイントは「葉酸」の摂取だ。

うつ病と食事との関係は深く、うつ病の人では特定の栄養素の不足が指摘されている。まずは葉酸。国立精神・神経医療研究センター神経研究所の功刀浩部長らが行った最近の研究では、うつ病の人の4人に1人が血液中の葉酸値が低いという結果が出た。「健康な人の場合は10人に1人なので、明らかに頻度が高い」(功刀部長)

[左]うつ病患者127人を2群に分け、一方には抗うつ剤と葉酸を、もう一方には抗うつ薬だけを投与した。10週間後、葉酸をプラスした群の方がうつ症状のスコアが明らかに低下していた(データ:J Affect Disorders; 60, 121-130, 2000、グラフは女性の結果) [右]うつ病患者99人と健常者111人に、直近1カ月間に緑茶を何杯飲んだか聞いた。その結果、健常者群は週4杯以上、患者群は週3杯以下の人が多かった。なおコーヒーの場合も、患者群では毎日1杯以下の人が多く、健常者群に比べて飲む頻度が少なかった。(データ:New Diet Therapy;29,1,31-38,2013)
(イラスト:いいあい)

葉酸はたんぱく質や神経伝達物質などの合成に関わるビタミンの一種。 葉酸不足がうつ病発症のリスクになることは以前から指摘されており、実際、葉酸の投与でうつ病が改善したとの報告もあるという。

葉酸はホウレン草や小松菜などの葉物野菜、納豆などに多い。ほかに鉄や亜鉛などのミネラル、青魚に多いn-3系不飽和脂肪酸のEPAやDHAなども、うつ病に関係する。不足しないよう、意識して食べよう。

緑茶も積極的に飲むといい。緑茶を週に4杯以上飲む人は、3杯以下の人よりうつ病の人が少なかったとの報告がある。「緑茶に含まれるテアニンには抗うつ作用がある。テアニンをマウスに継続投与すると、脳の海馬で神経栄養因子の増加が認められた」と功刀部長。

葉物野菜、納豆、魚、お茶…とくれば、やはり和食。和食中心の生活でうつを遠ざけよう。なお、小腹がすいたときなどはヨーグルトもお薦めだ。「うつ病の人ではビフィズス菌や乳酸菌が少ない傾向がある。腸内環境をよい状態に保つこともうつ対策に重要」と功刀部長は話す。

■栄養検査などを受けてみませんか
功刀部長が務める国立精神・神経医療研究センターでは、栄養検査や脳の画像検査の参加者(うつ病の人、健康な人)を募集している。診断やアドバイスも受けられる。
【問い合わせ先】国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部 TEL:042-341-2712 内線5135(脳科学的検査)、 nkoga@ncnp.go.jp(栄養検査)

■この人たちに聞きました

功刀(くぬぎ)浩さん
国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部(東京都小平市)部長。栄養学的検査や脳画像検査を用いてうつ病などの治療・研究に取り組む。日本精神神経学会専門医。「真面目でがんばりすぎる人がうつになりやすい。“がんばる”と“休む”のメリハリをつけ、食事などの生活を見直すことが重要です」
川村則行さん
川村総合診療院(東京都港区)院長。国立精神・神経医療研究センター勤務時代から、うつ病の指標となる物質を探索。11年から血液検査でうつ病を診断。「筋肉を使いすぎると“肉離れ”を起こすように、脳の神経を使いすぎるとうつ病になる。悩み過ぎはよくありません」

(ライター 佐田節子、構成:日経ヘルス 黒住紗織)

[日経ヘルス2016年2月号の記事を再構成]

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