TVで写真楽しむストレージ バッファローに一日の長
デジカメに加えスマートフォン(スマホ)、タブレットなど、あらゆる機器にカメラが搭載され、写真を撮影する機会が劇的に増えた。だが、多くのユーザーを悩ませているのが撮影した写真の保存・管理の方法だ。
そんなニーズに応えて生まれたのが、テレビに取り付けて使うフォトストレージ。撮影した写真をテレビの大画面で楽しめる。草分けとなったのが、2011年に発売されたバッファローの初代「おもいでばこ」だ。
その後、カメラメーカーからも同様のフォトストレージが登場。機能や使い勝手に差はあるのか。最新モデルを比較した。
キヤノンは「自社製カメラの周辺機器という位置づけ」
今回取り上げるのは、2015年3月に第4世代目としてハードウエアも一新したバッファローの「おもいでばこ PD-1000」。そして富士フイルムの「Wonder Photo Box」とキヤノンの「Connect Station CS100」だ。
各モデルとも撮りためたデジカメ写真を取り込んで、日付やその他のExif(イグジフ)情報を基に一元管理できる。バッファローと富士はデジカメ画像だけでなく、スマホで撮影した画像やパソコンに保存していた写真も、ケーブル接続やSDカード、USBメモリーなどを利用して取り込める。
キヤノンは「現状はあくまで、キヤノン製カメラの周辺機器という位置づけ」(キヤノン)。NFCを搭載した同社のデジカメをストレージにタッチすれば画像を転送・保存できる。ただし、同社製以外のカメラで撮った写真は取り込みがサポートされていない。スマホからも写真を転送できるが、ブラウザーにIPアドレスを入力し、ログインする必要がある。NFCとアンドロイドビームを使えばタッチ操作でログインできるが、初心者にはハードルが高い。
被写体やシーン別で写真を自動整理
3製品を使ってみて目を引くのが、富士のWonder Photo Boxの機能の高さだ。独自の写真解析機能により、被写体別やシーン別で写真を自動整理できる。また、構図やピント、被写体の表情などを基に、写真を4段階に自動でランク付け。フォトブックの作成時などには、三ツ星が付いたベストショットが大きく表示される。作成したフォトブックは画面上で楽しめるだけでなく、ネット経由でプリント依頼を行うこともできる。
キヤノンのCS100はいちいちカードを抜くことなく写真をタッチ操作で転送できるのが利点。ただし、2015年以降に発売された同社製NFC搭載デジカメのみが対応する(一部を除く)。同社のクラウドサービスを利用することで、保存した写真をCS100間で共有する「イメージシェア機能」も用意した。「実家の両親に孫の写真を見せたいといったニーズに対応した」(キヤノン)。
大量のスクロールでも待ち時間なし
先行するバッファローおもいでばこ PD-1000は、初代モデルからのわかりやすいインターフェースはそのままに、使い勝手や連係を強化したのが特徴だ。特にハードウエア設計を一新することにより、動作スピードが大幅に改善。大量の写真をスクロールしても、待ち時間がほとんど発生しないのは圧巻だ。「写真を20万枚保存しても、ほぼ待ち時間は発生しない」(バッファロー)とそのパフォーマンスの高さに自信を見せる。機能もまずまずで大きな不満はない。
総合的に見て、CS100は使い勝手、機能の両面で突出した点がない印象。フォトアルバムを作りたいと考えるなら、自動整理機能が充実したWonder Photo Boxが候補になる。ただし、機能は多いが、写真表示の速さやインターフェースの使いやすさはPD-1000に一歩ゆずる。
ストレスなくテレビで写真を楽しむことが目的なら、反応の良さと使い勝手のバランスでPD-1000をまず選ぶべきだ。
(デジタル&家電ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2016年1月号の記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。