『妖怪ウォッチ』が上位を独占 15年ゲームランキング
日経エンタテインメント!
―― 2015年の国内家庭用ゲーム機市場を振り返ってください。
ミリオンタイトルは2014年から2本減の4本。ニンテンドー3DS市場は成熟期を迎える一方、プレイステーション4(以下、PS4)は国内200万台を超えたばかりで、まだ普及段階。ハードの世代交代のはざまと言える年でした。
―― 1位、2位を『妖怪ウォッチ』シリーズが独占しました。
一過性のブームではなく、ブランドとして確立したからこその数字です。特に260万本を超えた1位の『妖怪ウォッチ2 真打』は14年12月の発売から1年を通して売れ続けました。派生タイトルを含め、短期間で新作を投入して話題を途切れさせませんでしたね。
―― 3位は人気シリーズ『どうぶつの森』の新作です。
『どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー』は正式な続編ではなく、どうぶつの部屋作りに特化した派生タイトルです。別売りのキャラクターが描かれたカードとゲームが連動する仕掛けが話題となり、110万本以上を売り上げました。
―― 上位5位までは、いずれも3DS用タイトルです。
3DSは11年の初代機発売から4年以上経過し、国内販売台数は2000万台目前。『ポケットモンスター』や『ドラゴンクエスト』など定番シリーズのリメイクや派生作品を、幅広いユーザーへ訴求するためには最適なハードです。
新規タイトルが健闘
―― 6位には、Wii U市場を活性化した話題作がランクイン。
アクションゲームの『Splatoon(スプラトゥーン)』はトップ10中で唯一、シリーズの続編ではないタイトルです。店頭での試遊会や、ネットでの高いユーザー評価により口コミで人気に火がつき、15年に最も売れた据え置きゲーム機用タイトルとなりました。11月にはWii U本体とのセット商品も登場したので、販売本数はまだ伸びそうです。
―― PS4用では『メタルギア ソリッドV ファントムペイン』が40万本以上を売り上げて14位に。
80年代後半から続く人気アクションゲームの最新作です。9月の発売直後は店頭での品切れが目立ちました。PS4本体の国内累計販売台数が200万台を超えたばかりの現状で、40万本以上のセールスは予想以上のヒットと言えます。
―― 『メタルギア』はPS3版もリリースされましたが、PS4版のみがランクインしました。
『メタルギア』はコアファンから支持されるタイトル。新たに本体を購入してでも、より美しいグラフィックで楽しめるPS4版を選択したユーザーが多かったのでしょう。一方、ライトユーザーのファンが多いシリーズ『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』では、11位のPS3用が約45万本を売り上げて、19位のPS4版より10万本以上多く売れています。PS4は、『ドラゴンクエスト』など知名度の高いタイトルだけを年に1~2本プレーするライト層にもアピールする専用タイトルをリリースすることが、16年の課題でしょう。
―― 14年はランクインしていなかったPS Vita用のタイトルが2本ランクイン。
17位の『Minecraft: PlayStation Vita Edition』はユーザーがブロックで自由にゲーム内の世界を構築できるタイトル。他のユーザーが動画サイトに投稿したムービーを見て、遊び方を研究する楽しみ方が広がり、小学生を中心にファンが増加しています。動画配信が人気の起爆剤になる、近年ならではの現象を象徴している1本です。
―― 家庭用ゲーム機以上に、数々の新作が登場したスマートフォン(スマホ)アプリ市場の動向は?
15年はKONAMI、カプコンといった家庭用ゲーム機を長年手がけてきたメーカーの活躍が目立った年。その中でもスクウェア・エニックスの『メビウス ファイナルファンタジー』は、家庭用ゲーム機に匹敵するハイエンドグラフィックをスマホで実現して、ユーザーを驚かせました。またバンダイナムコエンターテインメントの『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』も美しいグラフィックと、高いゲーム性を両立させて、配信1週間で400万ダウンロードを達成しています。
ハードのスペックが向上し、家庭用ゲーム機の開発環境でスマホアプリも開発できるようになったのが、この現象の理由です。
SMBC日興証券のシニアアナリスト。ゲーム関連の市場や企業を主に分析する。
(ライター 佐久間亮介)
[日経エンタテインメント! 2016年1月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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