小太りおじさんを鼻で持ち上げるのも大変だゾウ
千葉県房総半島の旅、第2回です。苅谷編集長からバトンを受けたアシスタントの松本千恵です。編集長が大吉を引いた笠森観音は、非常に御利益のあるパワースポット。お寺の門をくぐった左手にある「縁起屋 古壺(ここ)」にある黒招き猫を買うと、運気があがるといわれているそうです。年末ジャンボ宝くじの当選には、毎年黒招き猫を買った参拝者からお礼の報告があるとか。「これは買わなければ」と我先に群がる探検隊メンバーにあっけの筆者。運と力をつけた編集長、勢いづいてか違う乗り物に挑戦してしまいました。
子どもたちのねたみ、一身に受けつつ…
さて、運気もばっちり。笠森地蔵をあとにしたぶらりトレンド探検隊は、「市原ぞうの国」(千葉県市原市)へ。ここは、飼育されるぞうの数が10頭と、国内でもっとも多いそうです。ゾウ以外にも、100種類、500頭の動物がおり、ビーバーやフラミンゴ、カバに加えてなぜか猫、ハトやハシブトカラスまで……。日曜日の動物園は、家族連れでいっぱいでした。
園長の坂本小百合さんは、映画「星になった少年」(2005年東宝)のモデルになった、坂本哲夢さんの母。ゾウ使いを目指してタイに留学、修業を積んだ哲夢さんは交通事故により20歳の若さで亡くなりました。坂本園長は、今でもゾウに変わらぬ愛を注がれています。
トレンド探検隊、ここでの目的は11時から開かれる「ぞうさんショー」を楽しむこと。ショーの開かれる会場には、たくさんの親子連れで10分前には満席になっていました。われわれも、急いで前の席を陣取ります。子どもたち目的は、ぞうさんショーのなかで限定2人、ゾウの鼻にぶら下がることのできるアトラクションに参加するため。オトナであるわたしたちは、残念ながら参加は難しそう……。
ところが、隣の編集長が妙にそわそわしています。係員の女性に「僕、体重80キロあるんですけど、ぶらさがることできますかね?」と尋ねています。冗談ではなさそうです。
「はい、ゾウの鼻にぶらさがってみたい人!」園長が高らかに声を上げると、たくさんの子どもたちが我先にと手をあげました。いの一番に手をあげる編集長。周りも突然現れた競争相手を遠巻きに眺めています。まさか子どもをさしおいて選ばれるはずは…… と思っていたにもかかわらず、赤いジャケットに謎の鉄道帽子をかぶった編集長が異様に思われたのでしょうか。
一番に指名されてしまいました。子どもたちのねたみも、親たちの恨めしげな声もなんのその。体重80キロの編集長は、ためらいなくゾウにぶら下がりました。普段の重さの何倍だったでしょう。思わぬ重労働に見舞われたゾウが気の毒で仕方ありません。
アクアライン開通で意外な落とし穴
ぞうの国でひとしきり笑ったあとは、腹ごしらえです。大多喜町から市原市を横たわる養老渓谷温泉郷に向かい、知る人ぞ知る名店「喜代元(きよもと)」へ。本業は旅館という喜代元は、メニューはたった1品。「麦とろめし」が絶品だそうですが、看板に書かれた「売り切れ御免」の名の通り、あっという間に売り切れるそうです。
確かに、細い道路から入る店舗には、この周辺のみひっきりなしに車が出入りしています。あわてて走り込みました。
千葉産のヤマイモをたっぷり使った「麦とろめし」(1200円)、特筆すべきはなんといっても量の多さ。30センチはあろうかと思われる器になみなみとつがれた麦とろに圧倒される筆者を尻目に、音声担当の伊藤謙太ディレクターのすばらしい名言が出ました。「麦とろは飲むものですよ」。あっという間に平らげていました。編集長もそこに便乗、筆者もならって人生ではじめて「麦とろのみ」をしてしまいました。
ここ養老渓谷は景勝地として有名な千葉県有数の観光地です。東京からは車で1時間ちょっと。秋であれば美しい紅葉を見ることができます。養老川沿いには、出世観音もあり参拝客もちらほら。道の駅には、駐車場は車であふれています。特に土日は、日帰りで少し足を伸ばしたい、という観光客が多いのか、屋台もならび、にぎわいを見せていました。
ところが、宿泊業は意外に苦戦を強いられているようです。実はアクアラインの開通を機に、日帰り可能な近場の観光地として認知され、宿泊客が減ったとか。いくつかの旅館はシャッターが閉まったまま、ひっそりと建っていました。便利になるのも考え物ですね……。
さて次回は、今鉄道ファンに大人気、いすみ鉄道に上総中野駅から乗ります。編集長おすすめの秘境駅にも降り立ちました。野趣あふれるグルメも乞う、ご期待!
(メディア開発部 松本千恵)
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