出張の空き時間に、観光をしてはいけないのか

Answer:5日間の出張ということですと、観光の一つもしたくなってしまいますよね。たまにある出張は仕事の息抜きと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まず、出張中も普段と同じ労働時間で働かなければならないかについてですが、出張であっても勤務に変わりはないため、通常の勤務と同様の労働時間で働く必要があります。なお、出張の往復の移動時間は労働時間とカウントできないケースが多いので、出張先の会社に着いてから、その会社を出るまでが出張中の1日の労働時間となるのを覚えておいてください。
次に、仕事で時間が空いてしまった場合についてです。出張となると空き時間ができることもあるかと思います。出張とはいえ、適宜休憩は必要ですので、空いた時間に休憩をとることは問題ありません。もっとも、勤務中であることは変わらないので、私用に時間を使うのは良いことではないですね。実際は会社に把握されることは少ないでしょうし、仮にわかっても黙認されることが多いと思いますが、私用に時間を使うのは勤務時間外だけにしましょう。
最後に、有給休暇は休んでも給料が引かれない休暇であることはご存じかと思います。さらに有給休暇として認められるためには事前の申請が必要になります。今回のように、会社側が後から一方的に有給の残りから半日削るようなことは認められていません。
病欠した場合などに、休んだ分に有給を事後的にあてることは会社と社員双方の合意があれば問題ありません。しかし今回は双方の合意があるとは言い難いですね。
従って、出張中に観光をしたとしても有給を半日分減らすというようなことはできません。ずいぶん乱暴なことをする会社だと思います。出張中の観光を推奨するわけではありませんが、SNSへの投稿には注意してください。
この人に聞きました

弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼い始めた。労働トラブルを解説した書籍『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)が発売中。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中
[nikkei WOMAN Online 2015年11月24日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。