スマホに無線接続も、フルHD対応プロジェクター
大画面で映画やスポーツ中継などを楽しみたいと考えたとき、候補に挙がるのがプロジェクターだ。リビングルームなどにスペースを確保できれば、手軽に100型超の画面を投影できる。
家庭用のプロジェクターは、DVDプレーヤーを一体化したエントリー向けモデルから、4K対応のハイエンドモデルまで多彩な製品が販売されている。今回取り上げるのは、そのなかでも最も売れ筋といえる、フルHDに対応したエントリークラスのプロジェクターだ。
「ドリーミオ EH-TW5350」(エプソン)は2015年8月に登場した新モデル。従来モデルより輝度やコントラスト比が向上し、より明るい映像を映し出せるという。比較対象にしたのが、2013年に発売された「ドリーミオ EH-TW5200」。
スペックだけを見ると発売されたばかりのTW5350に劣る部分もあるが、量販店などでの実勢価格は約8万8000円と9万円を切るのが大きな魅力だ。TW5350(実勢価格約10万2000円)との価格差は約1万4000円。価格差と性能差をどう見ればいいのか、検証した。
手軽にスマホと連携
TW5350が進化したポイントの一つがスマホの写真などをスクリーンに投影できるワイヤレス機能だ。専用アプリからWi-Fi接続できる他、スマートフォン(スマホ)向けのワイヤレスディスプレー機能「ミラキャスト」やパソコン向けの「WiDi」などを使ってワイヤレス接続ができる。
TW5200もワイヤレス機能に対応していたが、別途専用のアダプターを用意する必要があった。しかし、TW5350はワイヤレス機能を本体に内蔵。手軽にスマホやタブレットと連係できるようになった。
実際の手順は、ミラキャストに対応したスマホなどから、映像の出力先としてTW5350を選ぶだけ。スマホの映像を簡単に大画面のスクリーンに投影できるのは非常に新鮮。出力が向上した内蔵スピーカーの音質もまずまずで、YouTubeなどの映像を大画面で見るといった用途に活用できそうだ。
もう一つの進化が、輝度やコントラスト比の向上。両モデルを並べて映像を比較すると、TW5350のほうが明るく、コントラストがはっきりしている。暗部も黒潰れせず、被写体の詳細な部分まできちんと表現できている印象だ。ただし、これはあくまでも両モデルを同時に見比べた場合。高性能なスクリーンなどを備えた本格的なシアタールームの環境では差が出るかもしれないが、比較的明るいリビングルームなどで視聴する場合は、その差は決定的とはいえない。
コストパフォーマンスは旧機種が圧倒
スマホやタブレットを日常的に活用し、保存した写真や映像を大画面で見たい、というような人であればTW5350が向く。ワイヤレス接続を利用すれば、ブルーレイプレーヤーなどがあるリビングルームに限らず、他の部屋でも映像を楽しめるようになる。従来よりも出力を向上させた内蔵スピーカーは、音響機器がない部屋で特に重宝するだろう。
ワイヤレス機能の内蔵、画質向上など、新モデルのTW5350は進化した部分が多い。しかし、エントリーユーザーがリビングルームで気軽に使うプロジェクターとして見た場合、画質の差はそれほど大きくはない。ブルーレイの映画やテレビ放送を大画面で気軽に楽しみたいといった使い方がメーンであれば、実勢価格が安いTW5200のほうが圧倒的にコストパフォーマンスが高いといえる。
(デジタル&家電ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2015年12月号の記事を基に再構成]
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