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健康・医療
from 日経Gooday

2015/9/28

from 日経Gooday

豪太さん 腰を下ろしてしまって大丈夫ですよ。できればリュックサックも下ろしてください。長時間ザックを背負っていると、背中や肩の周辺の血流が悪くなりますので、背伸びをしたり、深呼吸をしたり、肩を回したりなどの体操を取り入れるといいですね。

楽に山を登るためのペース配分のポイント
1.初心者はできるだけ経験者と一緒に登る
2.疲れにくいのはおしゃべりをしながら登れるペース。特に最初の30分を飛ばしすぎないことが大事
3.心拍数の目安は「180-年齢」(体力に自信がない人はさらに5~10低く)
4.休憩は50分に1回を目安に

「後ろ向き」で下りるのが一番ラク?

―上りよりも下りの方が難しいといわれますが、下りでは、どのようなペースや歩き方をすれば、疲れにくいのでしょうか。

豪太さん 下りは上りのような激しい運動量ではなく、エネルギーを使わないし、心拍数もさほど上がりません。そんなに休まなくてもゴールにたどり着くことができます。でも、ブレーキをかけながら下りるので、脚の筋肉に与えるダメージは大きいんです。

筋肉が弱い人ほど十分にブレーキをかけられないので、加速がつきがちです。意識しないと、どんどん足が勝手に前に出てしまいます。その加速に身を任せて下りてしまうと、膝関節の骨と骨同士が当たるような乱暴な下り方になり、関節内部に損傷を起こし、クッションの働きを担う半月板や軟骨などにダメージを与えてしまいます。

基本の下り方は、足の指の付け根を地面につけてから、かかとを下ろすイメージです。足の指の付け根から着地すると、自動的に膝が曲がります。そうすると、足首と膝の2段階クッションが機能して、着地の衝撃を分散することができるのです。着地を意識しすぎて脚を前に出しすぎないよう、体の真下で着地するようにしてください。

ただ、連続した下り坂で足の指の付け根からの着地を続けようとすると、疲れも伴います。それほど急勾配でなければ、かかとからの着地でも構いません。

また、膝が内側や外側に向いていないか、まっすぐ前を向いているかは常に意識してください。同じようなテンポとストライド、そして左右のバランスを崩さないようにしましょう。

それでも本当に足が動かなくなったら、最後の手段は後ろ向き歩行で下ることです。

下りで脚が動かなくなったら「後ろ向き」で下る!

――えっ、後ろ向きですか? 進行方向が見えない状態で下るのは、ちょっと怖いです……。

豪太さん 後ろの障害物を気にしながら下りるぐらいのゆっくりしたスピードです。登山家の中でも推奨しているのは私ぐらいですが、秘伝の下り方です(笑)。

私が主催している登山教室で、富士山などの高い山に登ると、参加者の1割くらいは下りで足が動かなくなってしまいます。そんなとき、「じゃあ、後ろ向きにゆっくり一歩ずつ下りましょう」と言うんです。皆さん最初は驚きますが(笑)、やってみると、一歩も歩けなかった人が、ゆっくり下りることができるんです。結果的に、前を向いて下りるよりも速かったりします。

――へえ~、そうなんですね。

豪太さん もちろん、後ろ向きで下るのは、他の登山者が少なくて、ベテランの登山者が見守ってくれる時、足元が安定していて、見通しが良く、ある程度、道のパターンが予測できている時に限ります。細い道で、木の根っこが大量に出ていたり、曲がりくねった山道ではお勧めできません。でも、広い登山道がずっと続くような下りであれば、後ろ向きでも大丈夫。脚が疲れてしまい、もうこれ以上下れないという人でも、後ろ向きにゆっくりと歩けば、まだ歩くことができるんです。

――それはいったいなぜなんですか?

豪太さん 実は人間の骨格は、正面を向いて下りるのには向いていません。膝が逆向きに曲がらない限り、下りのように体重を前にかけながら膝を曲げる動きは不自然なんです。後ろ向きなら、膝が山側に曲がるため、自分の体重が膝に一気にかかることはなく、地面を蹴らなくても済むので、膝にも足首にも負担がかかりにくいんです。

試しに階段を後ろ向きに下りてみるといいでしょう。手すりを持ちながらゆっくりと後ろ向きで降りてみると、思ったよりも安定感がありますし、足へのストレス、膝への負担も前向きに比べて少ないと感じると思います。

山登りの日の朝ごはんは、パンよりご飯がお勧め

――登山前や登山中の栄養補給についても教えてください。

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