カップル専用アプリが流行 音楽業界も新市場に注目
日経エンタテインメント!
カップル専用アプリなるものが10代20代を中心に流行している。コンセプトは、2人だけの特別なコミュニケーションが楽しめるというものだ。
利用するためにはアプリをダウンロードし、お互いが認証して初めて使えるようになる仕組み。現在、「Couples」「Pairy」「Between」の3つが100万ダウンロードを超えている。明治安田生活福祉研究所の調査によると、10代20代の人口を合わせた2500万人のうち、恋人がいる人は750万人。250万ユーザーを誇り、その8割が10代20代という「Couples」の場合、10代20代恋人あり男女の約4人に1人が使っている計算となる。
主な機能には、メッセージのやり取り、共有できるアルバムやカレンダーなどがある。またトップ画面では、付き合ってからの日数が常に表示されている。
面白い機能で人気なのは「Q&A」。お互いが共通の設問に答えることによって、相手をより深く理解することにもつながる。例えば「Couples」の設問には「つらい時に相手がしてくれてうれしかったことは?」「相手にどんな風に甘えられるのが好き?」など約500問を用意。開発を手がけるエウレカの榊原綾香氏によると、「質問でイチャイチャ感などが生まれることを意識的に心がけている」と言う。付き合いたてのカップルにも人気だが、長く付き合ったカップルのマンネリ解消にも一役買っているそうだ。
デート機能に力を入れているのは「Pairy」。注目の映画や、おすすめスポットをチェックすると相手にも通知されるため、ストックしていくことでデートプランにも役立つと評判だ。
では、なぜカップル専用アプリが人気なのだろうか。それは、フェイスブックやツイッター、LINEなどのSNSの普及により、友人関係が広がり続けるなかで、「SNS疲れ」が起きている現状がある。その反動もあり、本当に大切な人とつながる空間である「クローズド(閉鎖的な)SNS」が注目を集め、その代表的な存在がカップル専用アプリなのだ。
新曲の販促への活用例も
そして、このカップルに特化したアプリに目を付けたのが音楽業界。なかでもユニバーサルミュージックは、シェネル、MACO、ナオト・インティライミ、GReeeeNなど多くの所属アーティストが「Couples」とコラボレーションを行っている。例えば、ラブソング・プリンセスと呼ばれるシェネルはリリースイベントを「Couples」のユーザー向けに実施。新ジャンルのアプリとのコラボはマスコミも注目し、話題となった。
また、シンガーソングライターのMACOは、5月に発売した恋愛を歌ったシングル曲『Love』のビデオに出演してもらうカップルを「Couples」上で募集した。その結果、わずか6日間で500組を超える応募があったと言う。MACOの制作担当を務める永野陽三氏も、「一般のカップルに直接プロモーションできるツールは今までになかったので、とても重宝している」と語る。
最近では、30代のユーザーも拡大しているという。カップル市場にリーチできる貴重な存在として、様々なエンタテインメント企業による活用例がこれから増えていきそうだ。
(ライター 中桐基善)
[日経エンタテインメント! 2015年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。