体の片側に激痛と発疹 50代で急増する帯状疱疹
胸やお腹の片側が急にピリピリと激しく痛みだし、4、5日するとそこに赤い発疹がポツポツ…。こんな症状があれば、「帯状疱疹」の可能性が大だ。
80歳までに3人に1人がかかるといわれる身近な病気で、女性に多い。「7、8割の人は最初に痛みが出て、後で発疹が現れる。ただし、50代未満の人では痛みよりも先に発疹が出て、虫刺されと勘違いすることもある」と、まりこの皮フ科の本田まりこ院長は話す。
症状は基本的に体の片側だけに出る。起こりやすい部位は、胸部や腹部を筆頭に顔、首、腰と続く。ちなみに四谷怪談の"お岩さん"の顔は、帯状疱疹によるものといわれる。
免疫力低下で潜伏ウイルスが"暴走"
原因は子供のころに感染した水疱瘡ウイルス(ヘルペスウイルス)。疲労やストレスなどで免疫力が低下すると、それまで体の奥で眠っていたウイルスが突如暴れ出す。どの年代でも発症するが、特に免疫力が下がる50歳以降に急増する。
「子育て世代は子どもを通して水疱瘡ウイルスにさらされるので、ウイルスを抑え込む免疫力が鍛えられ、帯状疱疹になりにくい。50代以降は、この抑え込む力も、体全体の抵抗力も低下するため、発症しやすくなる。糖尿病、花粉症や喘息(ぜんそく)などのアレルギー、がんなどの持病がある人もなりやすい」(本田院長)。
痛みは数日から1週間ほど続く。「痛みが強いほど神経のダメージが強く、重症化しやすい」とNTT東日本関東病院ペインクリニック科の安部洋一郎部長は話す。発疹が出たら即、皮膚科を受診するのが鉄則だ。次回は治療法について解説する。
この人たちに聞きました
まりこの皮フ科(横浜市鶴見区)院長。専門は帯状疱疹などの皮膚のウイルス感染症。「アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息、膠原病などのアレルギーの病気がある人は、水疱瘡ウイルスを抑え込む『細胞性免疫』の力が弱いので、帯状疱疹になりやすい。気をつけてほしい」
NTT東日本関東病院(東京都品川区)ペインクリニック科部長。麻酔科医。専門は神経ブロックなど。「痛みは不安を招き、それが痛みを悪化させる。我慢せず、早く痛みを取り除く治療を。最初に痛みが出た時点でペインクリニックを受診してもいい。抗うつ薬や抗てんかん薬も、神経の痛みによく効く」
(ライター 佐田節子、構成:日経ヘルス 黒住紗織)
[日経ヘルス2015年10月号の記事を再構成]
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