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なんとなくだるい、気力が出ない それは「9月病」かも

2015/9/9

日経ウーマンオンライン

新社会人や新入生が、ゴールデンウイーク明け頃に無気力状態になってしまう「5月病」はよく知られている。最近では同じように9月に心や体の調子を崩すことを指して「9月病」という言葉も聞かれるようになってきた。この時期、注意が必要な9月病の予防と対処について、精神科医の皆川恵子さんに聞いた。
(C)Pixta

■「9月病」を知っていますか

「9月病」とはもともと、夏に長いバケーションをとる欧米などで、休み明けにうまく仕事に復帰できない人が陥る不調を指していたようだ。日本でも、9月は夏休みが明けて仕事や学校が始まる時期。暑い夏に体力を消耗することも影響して、環境の変化についていけずに心や体の調子を崩すことを「9月病」と呼んでいる。医学用語ではないが、急な環境の変化についていけずに、ストレスで心や体が悲鳴を上げている、病気の一歩手前の状態と捉えられるだろう。

季節の変わり目でもあるこの時期、日照時間が短くなる、気温が下がる、台風が多くなるといった、日本特有の気候も無関係ではないと、精神科医の皆川恵子さんは話す。

「9月は気候の変動にまつわる心身の不調が起こりやすい時期です。ここ数年、日本の四季が薄れ、春秋がはっきりせずに急に暑くなったり寒くなったりするような体感があります。特に今年の夏は、都心などでは35℃以上が連日続き、猛暑日の記録を更新するほどでした。暑い夏の疲れが、少し涼しくなる頃にどっと出てくることが考えられます」(皆川さん)

特に9月後半からは、うつ病の人や気分の波の上下が激しい人などの状態が1年で最も悪化しやすく、皆川さんら精神科医の間でも注意を要する時期だという。

「うつと関係しているセロトニンや、睡眠と関係しているメラトニンなど、脳内の神経伝達物質は日照と関係が深いため、日照時間が明らかに短くなってくる時期は、これらが減りやすいのです」(皆川さん)

9月後半からは、もともと、うつにつながるような脳の変化が起こりやすい時期なのだ。だからこそ、9月に入ってからの過ごし方も重要だ。無理を続けていると、シルバーウイークが終わった9月末頃にエネルギーが切れて落ち込んでしまうかもしれない。

■なんとなくだるい、気分が上がらないなどのサインに注意

9月病のサインは以下のような症状に現れる。早めに気づいて対処しよう。

<<体の症状>>
なんとなくだるい
なんとなく頭が重い
胃腸の機能が落ちた(消化不良)
食欲がない
むくみやすい など

<<心の症状>>
気力が上がらない(めんどう、億劫)
不安・イライラ
気分が落ち込む
集中できない
眠れない、朝起きられない など

やる気が出ない、集中できない、朝起きられないといった症状は、うつ病の初期症状に近い。こうした症状を放っておくと本格的なうつ状態に陥って仕事や生活に支障が出てきてしまう可能性もあるので、不調が1~2週間続くときは心療内科や精神科を受診しよう。

■環境が変化する時期こそ、睡眠・食事などの生活習慣を整えよう

では、生活の中でどんなことに気をつければよいのだろうか。対策をまとめた。

・規則正しい睡眠をとる

心身の不調はまず睡眠に出やすい。過ごしやすい時期ではあるが、夜更かしせず6~7時間の睡眠時間を確保する。パソコンやスマートフォンの画面を見ていると、脳が興奮して寝つきが悪くなるので、寝る前は控える。

・栄養バランスのとれた食事を3食とる

内臓も疲れている時期なので、消化の良い食品を。

・セロトニンをつくるのに必要な必須アミノ酸(なかでもトリプトファンを含む食品)を積極的にとる

肉、魚、大豆・豆製品、バナナ、アボカドなど。

・まだ暑い日があっても冷え症対策をしっかりと

体を温める食品(ネギ、しょうがなど)をとり、冷たい飲み物より温かい飲み物を選ぶ、水は常温で飲むなど内臓の冷えすぎを予防する。

・適度に体を動かす

特別なスポーツをしなくても、積極的に歩く、階段を上るなど日常生活にメリハリをつけて活動的に過ごすほうが体調を維持しやすい。

「体がだるいうえに、仕事がたまっているからと急に頑張りすぎると、目の疲れに始まって、首・肩こり、座りっぱなしから腰痛などになるので、だるさのコントロールも含めて、デスクワークの人は特に適度な運動が大切です」と皆川さんは言う。昼休みには外に出る、職場でできる簡単なストレッチをするなどの対策を心がけよう。

また、だるさや疲れが激しいときは、昼休みにデスクで10~15分仮眠をとるだけでも、意外と午後からの覚醒度を上げるのでおすすめだ。

「休み明けに、たまった仕事を一度に片付けようと頑張ってもエンジンがかかりにくいので、『残業はしないけれど○時までは集中してやろう』とか『1週間がんばったらご褒美』など短期的なメリハリをつけ、徐々にエンジンをかけていきましょう」(皆川さん)

■同僚の様子が「いつもと違う」と思ったら

職場では、次のような状態も重要な「9月病」のサインだ。

・普段ならやらないようなうっかりミスが増える
・なんとなく能率が上がらない
・表情がさえない
・遅刻が増える
・就業中のあくびが増える など

自分では気づきにくいが、周囲が配慮し、こうしたサインに気づいたら「大丈夫?」と声をかけよう。ミスを指摘したり叱咤激励したりするのではなく、眠れているか、きちんと食べているかといった生活習慣を尋ねるのがよい。不眠や何らかの体調不良がある場合は、産業医や健康管理部門への相談をすすめよう。

また、重い不調につながる前に自分でストレスをコントロールするためには、どんなに忙しくても「自分をモニターする」習慣を持つことが大切だという。今の睡眠の状況、体調はもちろん、「全体的に気持ちがのらないな」「今、ちょっと気分が滅入っているな」といった気分もまずは意識することが、気づきや工夫につながる。自分の心と体の声に耳を傾けながら、季節の変化を乗り切ろう。

この人に聞きました

皆川恵子さん
めぐみクリニック院長。平成元年埼玉医科大学医学部卒業。同大神経精神科、ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック心療内科・精神科等勤務を経て、平成26年にめぐみクリニックを開設。専門は児童青年精神医学、成人精神医学。女性の診療が多く、年齢や性差を考慮した対応を大切にしている。

(ライター 塚越小枝子)

[nikkei WOMAN Online 2015年9月1日付記事を再構成]

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