新機能か、価格か…パナのオーブンレンジ比較対決
料理の温め直しから、冷凍食材の解凍、そしてオーブン調理やグリル調理ができるオーブンレンジ。最新商品は、基本となる電子レンジ機能やオーブン加熱機能に加えて、スチーム加熱やグリル加熱機能などを搭載する。これらを複合的に組み合わせることで、複数メニューの同時調理や時短調理機能を実現している。
今回はいち早く同時調理機能や時短調理を訴求してきたパナソニックのオーブンレンジ「3つ星ビストロ」シリーズを取り上げる。
メニュー数はBS1200が圧倒
フラッグシップモデルとなる「NE-BS1200(以下BS1200)」は、遠赤外線ヒーターと近赤外線ヒーターを組み合わせた光ヒーターシステムを搭載。さらに「64眼スピードセンサー」により、庫内各エリアの温度を一瞬で認識、調整できるのが売りだ。
対するは、パナソニックがシニア世代に向けて展開するJコンセプトシリーズのスチームオーブンレンジ「NE-JBS652(以下JBS652)」。「旬を愛でる」をキーワードに、50種類の和食メニューを自動メニューに搭載している。庫内サイズは26Lで多段調理に対応しないためパンなどを大量に作るニーズには向かないが、少量の料理を素早く作れるのが魅力だ。
JBS652の売りは、大型のカラー液晶に大きな文字でメニューを表示すること。BS1200も液晶パネルの大きさは同じだが、文字サイズはJBS652より一回り小さかった。両モデルとも自動メニューでは材料や下ごしらえの方法などを液晶画面に表示する。
焼き物と蒸し物などを同時に調理するメニューの登録数は、BS1200の154メニューに対してJBS652は12メニュー。総数はBS1200のほうが398と圧倒的に多い。メニュー数については大きな差がある。
ヒーター性能に違い
両モデルとも、ドアを閉めたときに衝撃が起きないソフトダンパーを採用。ドアを支えてそっと閉める必要がないのはうれしい。また、付属のグリル皿を使った時短調理に対応する。ただし、グリル機能やオーブンの加熱温度などに差があるため、調理時間や焼け上がりなどには若干の差があった。
同一メニューのハンバーグを試してみたが、BS1200が約15分で焼けるのに対して、JBS652は18分かかった。また、BS1200のほうが焦げ目がしっかりと付いている印象を受けた。味や食感には明確な差は感じなかったので、見た目と加熱時間の差がヒーター性能の違いといえそうだ。
この他BS1200は2段調理に対応。「芯までほぐせる解凍」機能や、冷凍したままの食材から加熱調理ができる「凍ったままグリル」などの便利な機能も搭載している。
ホームパーティー好きならBS1200
最新機能の豊富さの他、庫内容量や自動レシピ数などのスペックの高さではもちろんBS1200が優れている。例えば料理が好きで、人が集まるホームパーティーをよく開いたり、2段調理でパンを数多く焼きたいといったニーズがあるのならBS1200も候補になるだろう。
ただ、今回紹介した両モデルの価格差は約6万円と決して小さくはない。料理の温め直しやおかず調理といった目的ならJBS652でも十二分だ。
自動メニュー数こそ少ないが、手動操作はもちろん可能。時短調理メニューにかかる時間も価格差ほど大きくはない。JBS652は、オーブンなどの火力を生かした派手なメニューではなく、日々食べる和食メニューに対応しているので、日常的な用途なら過不足なく使える。
(デジタル&家電ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2015年9月号の記事を基に再構成]
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