夏に多い痛風、あなたの危険度をチェック

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夏は、痛風の発作が増える季節だ。痛風は、紀元前4世紀にはヒポクラテスが詳細に記載するなど、最古の生活習慣病ともいわれる。痛風の原因や予防法を知り、生活習慣を改善しよう。

プリン体のとり過ぎが一因に

痛風というと問題視されるのが「プリン体」だが、そもそもプリン体とは何だろう。「プリン体は悪者だと思われやすいが、実はすべての生物を活動させるために欠くべからざる物質。遺伝子をつかさどるDNAの半分はプリン体からできています」と言うのは、東京女子医科大学教授で附属膠原病リウマチ痛風センター所長の山中寿さん。山中さんによると、プリン体はエネルギー源にもなるほか、イノシン酸といううまみ物質の構成成分でもある。

しかし、命の源ともいえるプリン体も、とり過ぎには注意しなくてはならない。プリン体は分解されると最終的に尿酸になり、腎臓から排出される。プリン体のとり過ぎや、尿酸の産生量の増加、尿酸の排せつ量の減少が起こると、血液中の尿酸値が上がり、高尿酸血症となり痛風が引き起こされる。高尿酸血症とは、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態で、この状態が長く続くと痛風の原因となる。

尿酸値が増える要因としては、プリン体のとり過ぎ、筋トレなどの激しい無酸素運動、果糖のとり過ぎ、ストレス、ある種の薬剤の影響などがある。また、尿酸の排出量減少の要因には、メタボリックシンドローム、内臓脂肪の蓄積、飲酒、絶食、脱水などが挙げられる。このように、多くの生活習慣が尿酸値を上げる原因となっているのだ。

「例えば、夏に激しい無酸素運動をして、汗をかいて脱水になると尿酸値が上がります。その上、運動後にプリン体を多く含むビールを飲めば、尿酸値はさらに上昇します。このように尿酸の増加の連鎖が起こりやすいために、夏に痛風の発作が増えるのです」(山中教授)

また、肥満やメタボリックシンドロームの人が増えているためか、痛風の患者数は年々増加しており、そのほとんどが男性だという。尿酸値には女性ホルモンが関係しており、女性の尿酸値は男性より低いためだ。

では、あなたの健康状態や生活習慣は、痛風や高尿酸血症を引き起こす心配はないだろうか? 以下にある山中教授作成のチェックリストで調べてみよう!

<痛風・高尿酸血症チェックシート>

(出典:東京女子医科大学 山中寿教授)

尿酸値の上昇は、尿路結石の原因にも

痛風は、関節の中に尿酸がたまって発作が起きるもので、多くは足の関節に起こる。「ひとつの関節だけが急に腫れ上がり、一般的には、痛みが始まってから24時間以内に腫れと痛みが最高潮に達します。この痛みは1週間ほどで消え、次の発作までは痛みません」(山中教授)。

また、尿酸が腎臓にたまると腎機能障害や、尿路結石の原因にもなる。尿酸値の高い人はメタボリックシンドロームにもなりやすく、虚血性心疾患、脳血管障害も起こしやすい。したがって、尿酸値の上昇には注意が必要だ。

栄養バランスの良い適量の食事、水分摂取が大切

では、尿酸値を下げて、痛風や高尿酸血症を予防するにはどうすればよいのだろうか? 帝京大学薬学部臨床分析学研究室の金子希代子教授は、「バランスの良い食事を摂り、飲酒は適量にし、軽い運動をすること」と話します。

バランスの良い食事とは、ご飯・パン・麺などの主食、魚介・肉・卵・大豆製品などを使った主菜、野菜・海藻などの副菜に汁物をつけた、一汁二菜、または一汁三菜の食事だ。メニューはプリン体や果糖をとり過ぎない組み合わせにし、腹八分目を守ること。1日のプリン体の摂取量は400mg程度が望ましい。

さらに、水分を十分に摂って尿酸の排出を促そう。日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会が編集した『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』では、尿量を2,000mL/日以上確保することが目標とされ、高尿酸血症・痛風だけでなく、尿路結石の予防のためにも、食事以外に2,000mL以上水を飲むことが勧められている。

プリン体を多く含む食品を以下に挙げた。

<食品100gあたりに含まれるプリン体の量>
○極めて多い食品(300mg以上)
鶏肉(レバー)、干物(マイワシ)、イサキ白子、アンコウ(肝酒蒸し)、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、ローヤルゼリー)
○多い食品(200~300mg)
ブタ肉(レバー)、牛肉(レバー)、カツオ、マイワシ、大正エビ、干物(マアジ、サンマ)、オキアミ

白子はDNAの塊なのでプリン体が多く、イサキ以外の魚の白子にも多量に含まれている。レバーもプリン体が多い部位だ。干物は水分が蒸発してプリン体が濃縮されているため数値が高くなる。これらのプリン体の多い食品は、少なめに摂取するように心がけよう。

ただし、プリン体の多い食品さえ避ければ安心というわけではない。プリン体はすべての食品に含まれており、食事の総摂取量が多いと、当然体内に入るプリン体も多くなる。食べる全体量が減ればプリン体摂取量も減る。したがって、メタボの人や食べ過ぎの人は食事の総摂取量を見直すことも必要だ。

飲酒も尿酸値を上げる原因となる。アルコールには、プリン体の有無にかかわらず、代謝の過程で尿酸を増やす働きがあるからだ。1日の飲酒は下記のいずれかにするのが適量で、週に2日は休肝日を設けよう。

<1日の飲酒量の目安>
日本酒・・・1合(プリン体2~3mg)
ワイン・・・グラス1杯(プリン体0.4~2mg)
ウイスキー・・・ダブル1杯(約60mL)(プリン体0.1~0.5mg)
ビール・・・500mL(プリン体0.5~42mg)

早歩き、階段を使うなどの軽い運動が効果的

軽い運動は痛風予防になるが、過激な運動や無酸素運動は尿酸値を上げるので、尿酸値が気になる人は避けること。ウオーキング、ジョギング、水泳、ラジオ体操など、脈が少し早くなるような有酸素運動を週3回程度行うのが適当だ。

「ジム利用やランニングの習慣のある人はそのまま続け、運動の習慣のない人は、通勤時に苦しくならない程度の早歩きや、エレベーターを使わずに階段の昇降を日常生活に取り入れましょう。建物の3階くらいは階段を使い、駅から家や会社までは早歩きで歩くというのも、毎日無理なくできる運動です」と金子教授。

最後にもう一度まとめると、痛風・高尿酸血症を予防するには、

高プリン体食品を少なめに摂る
食事の総摂取量を見直す
水を飲んで尿酸を排せつする
アルコールを控える
有酸素運動を続ける

これらを心がけた生活が望ましい。

また、近年の研究により、乳酸菌の中に、プリン体の吸収を軽減する作用を持つものがあることがわかった。

明治が保有する乳酸菌PA-3株が入ったヨーグルトを用いて尿酸値の少し高い人を対象に行った試験では、PA-3株が入ったものを摂ったグループのほうが、PA-3株の入ってないものを摂ったグループに比べて尿酸値が低い結果となった。通院して治療を受けている痛風患者による試験では、PA-3株が入ったものを摂ったグループは、薬を止めたときの尿酸値の上昇が抑えられたという結果も出ている。ある種のヨーグルトは痛風予防に効果があるといえるのかもしれない。

(芦部洋子=フリーライター)

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