味や栄養素にこだわった給茶機、新旧どちらが買いか
茶葉を専用の臼で粉末状に挽き、抹茶のようなお茶がいれられるシャープの「ヘルシオお茶プレッソ」。急須に茶葉と湯を注いで飲む一般的なお茶に対し、茶葉に含まれているカテキンや食物繊維などの栄養素を丸ごと取れる魅力をうたう。
初代モデルとなる「TE-GS10A(以下GS10A)」は、2014年4月の発売後、15万台を生産するヒットとなった。これはシャープが当初に設定した目標の3倍以上の数字だ。このモデルに細かな部分を改良した新モデルが、2015年4月24日に発売された「TE-GS10B」と上位機種に当たる「TE-TS56V(以下TS56V)」だ。
しかし、市場にはまだ旧モデルのGS10Aの在庫も残っており、どのモデルを選べばいいのかわかりにくい。そこで、GS10Aと、新モデルの上位機種TS56Vを比較してみた。
プロの声で粉末茶の粒度細かく
両モデルに共通するのは、茶葉を挽き、湯を沸かし、そしてお茶をたてる機能を搭載していることだ。GS10Aでは最大容量である3杯分の茶葉を挽くのに約6分かかった。対して、TS56Vでは3杯分なら約4分50秒、4杯分なら6分25秒で挽けるようになっている。このスピードと大容量化、そして茶葉をさらに細かく挽けることがTS56Vの進化点だ。
さらに粉末茶は、従来の平均20μm(ミクロン)から15~20μmへと細かくなった。実際に飲み比べてみると、TS56Vのほうが口当たりがより柔らかく感じられる。ただ、これは飲み比べてわかる差で、従来のGS10Aでもお茶のうまみを十分に味わうことができた。
「粉末茶の粒度をより細かくしたのは、茶の販売店などプロからの声に応えたもの。また、大容量化に関しては法人ニーズや夫婦で2杯ずつ飲みたいというような声に応えた」(シャープ)。
最適な温度に湯ざまし
TS56Vの目玉が「湯ざまし」機能だ。これはいったん沸騰させた湯に冷却風を当てて、お茶に最適な70℃前後まで冷ましてからお茶をたてる機能。普段からお茶を飲み慣れているユーザーの意見を取り入れた機能で、「お茶の風味をより楽しむことができる」(シャープ)という。
また、TS56Vでは茶葉や粉末茶の投入口を大きくした他、受け皿が洗えるようになっているなど、細かい使い勝手が向上。本体前面パネルに帯電防止樹脂を採用することで茶葉の粉末が静電気で張り付きにくくなった。これらもユーザーの声から生まれた改善点だ。
では、両モデルはどちらを買うべきか。機能や容量では当然TS56Vが上。しかし、わずかではあるが本体サイズが大きいこと、そして実勢価格が約2万3000円と、旧モデルのGS10A(実勢価格約1万4000円)より1万円ほど高い点が気になる。
TS56Vと同じ茶臼を採用し、より細かく茶葉を挽けるスタンダードモデルGS10Bもあるが、実勢価格はやはり2万円超。価格的にも魅力なのはGS10Aだ。
家族でよくお茶を飲むような"ヘビーユーザー"や、お茶の味を重視したい人なら、容量が大きく、冷却風による湯ざまし機能を搭載したTS56Vが向いている。お茶を飲む頻度はそれほど高くはないが、挽きたての粉末茶の味や栄養素に興味があるのならGS10Aが薦められる。
(デジタル&家電ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2015年8月号の記事を基に再構成]
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