小さな子どもとケンカしてしまった時に読みたい名言
こんにちは。ライターの大山くまおです。ワーママの妻と一緒に3歳の娘を育てております。本当に子どもの成長は早いもので、ついこの前までママのおっぱいを飲んでいた娘が(ウチは卒乳が遅かったのです)、何でも一人でやるようになってきました。現在、少しずつトイレトレーニングをしている最中なのですが、どうやら親が考えるスピードよりも娘の成長のほうが早いのが現実のようです。
つい先日は2人で出かけたファミレスで「おしっこ!」と言うので、それ来た、とトイレの個室に連れて行ったところ、娘が「パパ、出てって!」と言い始めるではないですか。これまでは僕が便座に座らせて、用を足すのを見届けて…と一つずつサポートしていたのに…。うろたえている間に僕は個室の外に追い出され、娘に内側からカギをかけられてしまいました。
カギなんかかけて、個室から出られなくなったらどうしよう…と心配しながらトイレの中をウロウロしていたら、「ジャー」と水が流れる音がして、サッパリした顔で娘が個室から出てきました。そのまま自分で手を洗って、自分の席まで走って戻っていきます。わずか数分の出来事でしたが、子どもの成長って、いきなり目に見えて現れるんだなぁ、とぼうぜんとしつつ感心してしまいました。
子どもが成長するに従って、我が家で増えてきたのが「ケンカ」です。夫婦ゲンカではありません。親子ゲンカです。ケンカという表現は少しおかしいかもしれませんが、親子がお互いに怒りをぶつけ合い、それがなかなか収まらない状態に陥ってしまうのです。
たとえば、娘がママの言うことをきかないことが増えてきました。ママは厳しく叱ったり、言葉を尽くして説明しようとしますが、娘はイタズラを続けたり、ふざけ続けたりします。すると、めったに怒らない温厚なママも「もう知らない!」となってしまうのです。
僕の場合、あるとき保育園にお迎えに行ったら、娘が「(お迎えは)ママがよかった」としか言わないことがありました。その後、2人で食事をするときも、何をするときも「ママがよかった」「ママに会いたい」の一点張り。ママは仕事なんだよ、と説明してもまったく聞き入れてもらえません。強情な娘に僕もイライラしてしまい、険悪な時間が続いてしまいました。楽しい時間を過ごしたいと思っているのに…いったいどうすればいいのでしょうか?
人の成長に対して「待つ」ことができるようになりました
蝶野正洋
「プロレスラーは子育てに最強」蝶野正洋(インタビュー)より
納得いくまで、気の済むまでやればいい
まずは「黒のカリスマ」ことプロレスラーの蝶野正洋さんの言葉から。リングの上では悪党ファイトを繰り広げていた蝶野さんですが、プライベートでは子煩悩な2児のパパです。お子さんが2人とも小児ぜんそくにかかっていたということもあって、子育てにはより深くかかわっているようです。
ここで語られているのは「待つ」ことの大事さ。子どもがふてくされて泣いていたら、少し時間を置いて機嫌をとる。でも、タイミングが来るまで親はじっと我慢する。「大人みたいに『腹八分』なんてできないから、納得いくまで、気の済むまでやればいい」と蝶野さんは言います。幼稚園に行く前に息子さんが駄々をこねたときは、その後、こっそり幼稚園まで様子を見に行ったこともあるのだとか。すると、蝶野さんに似てサイズの大きな息子は友達の輪にうまく溶け込んでいなかった。そのストレスで駄々をこねていたのです。
子どもを頭からおさえつけて言うことを聞かせようとするのではなく、待つ、我慢する。「親が子をコントロールすることは反対」とも言います。そのかわり、蝶野さんは子どもに自分の感情をコントロールする方法を教えているのだそうです。
教育評論家・尾木ママの名言
子どもの心に共感することが大切
尾木直樹
「目からウロコの教育論」より
ご存じ、"尾木ママ"こと教育評論家の尾木直樹さんの言葉です。我が家では、なるべく娘を大きな声で叱らないようにしてはいるのですが、中には言うことを聞かない子どもに対して大きな声をあげてしまうパパやママもいるかと思います。その気持ちはよくわかります。
でも、大きな声で叱っても、残るのは親の自己嫌悪だけ。そこで尾木さんは、叱りたくなったときはじっとこらえて、子どもに「どうしたの?」と優しく聞いてみてほしいと語っています。幼稚園に行きたくないと駄々をこねたら、「行きなさい!」と叱らずに優しく理由を聞いてやる。すると、子どもなりに理由を語ってくれるでしょう。そこで親が共感してやれば、味方を得た子どもは自分で解決しようするのだと尾木さんは言います。「本当に子どもの持つパワーって無限なんですよ」と尾木さん。そのパワーを引き出してやるのが、親の役割だというわけです。
忙しい共働き世帯のパパやママにとって、時間は何よりも大事なものですが、ほんの数分でも子どもの言い分を聞いてやる時間をとってあげたいものですね。
『うちの3姉妹』の作者の名言
松本ぷりっつ
「HOTdinos」より
理不尽なことも、何もかも「おもしろい!」と思ってしまえばいい。そう語るのは、コミック『うちの3姉妹』の作者、松本ぷりっつさんです。子どもたちが起こす騒動を前向きにおもしろがることで大ヒットコミックを生み出してしまった人の言葉ですから、説得力がありますね。
子育ては大変なことと苦労ばかりだと言ってもいいかもしれません。でも、大変だったことの一つひとつは大切な思い出になります。子どもと真剣に向き合った結果、ケンカが起こったとしても、それほどネガティブにとらえる必要はないのかもしれません。
大切なのは、頭ごなしに子どもを否定しないこと。子どもとの関係をおもしろがることができれば、毎日が楽しくなると思いますよ。僕も肝に銘じて、娘と仲良くケンカしながら過ごしていきたいと思います。
フリーライター・編集。1972年名古屋市生まれ。映画、アニメ、音楽、プロ野球などカルチャー全般についての取材、執筆、企画立案、編集などを行う。古今東西の名言を集めた『名言力 人生を変えるためのすごい言葉』(ソフトバンク新書)が11刷のロングセラーを記録。「クレヨンしんちゃん」のパパ、野原ひろしの名言を集めた『野原ひろしの名言 「クレヨンしんちゃん」に学ぶ幸せの作り方』に続く『野原ひろしの超名言 「クレヨンしんちゃん」に学ぶ家族愛』(双葉社)が発売されました。興味がある方はぜひ手に取ってみてください。
[日経DUAL 2015年4月24日付の掲載記事を基に再構成]
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