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ニキビの新薬「BPO」 改善早まり再発も予防

2015/7/5

日経ヘルス

 40年以上前から欧米でニキビの標準治療薬で、欧米では市販薬にも使われている「過酸化ベンゾイル:BPO」(商品名:ベピオゲル)が、2015年4月に日本でも処方薬として発売された。従来薬との併用などで、炎症のある赤ニキビを早く治せるだけでなく、再発も予防できる。

 ニキビは重症化すると肌に跡(瘢痕、はんこん)が残ることもある。きちんと治すためには、早めに皮膚科を受診するのがお勧めだ。近年、皮膚科で使えるニキビ治療薬が増え、悩みに合った薬が選べるようになってきた。

 ニキビは毛穴が詰まることで始まる。その毛穴の内部に皮脂などがたまった状態がニキビの初期段階である「白ニキビ」。もともと皮膚にいるアクネ菌などが中で増殖して炎症を起こし、膿(うみ)がたまった状態が「赤ニキビ」だ。

(イラスト:三弓素青)

 虎の門病院皮膚科の林伸和部長は、「かつては皮膚科でもニキビ治療といえば赤ニキビに対する抗菌剤が中心だった」と話す。この状況を変えたのが7年前に発売されたアダパレン。ビタミンA様の作用で毛穴の詰まりを取って白ニキビを防ぎ、赤ニキビへの移行を抑える。

■アダパレンとの併用で効果高く

商品名「ベピオゲル 2.5%」(マルホ)。1日1回洗顔後、0.5g(人さし指の先から第一関節までの長さ)をニキビのできやすいところ全体に、まんべんなく薄く塗る

 そこに新たに加わったのがBPOだ。赤ニキビに対しては殺菌効果が得られるとともに、角質を柔らかくして白ニキビの原因である毛穴の詰まりも予防できる。林部長は「BPOとアダパレンは作用メカニズムが異なるが、もたらされる効果は似ている」と話す。欧米の臨床試験では両者の合剤で症状が「早く」「より良い状態に」なることが分かっており、重症の人には併用療法がお勧めだ。

 また、ニキビ治療で大切なのは治療の継続。赤ニキビが多いときは抗菌剤、BPO、アダパレンを集中的に利用する。赤ニキビが5分の1ぐらいに減ったらBPO、アダパレンの併用か、単独でその状態を保つ維持療法を続けると肌の状態が良くなる。

[左]欧米人1670人を対象に行った臨床試験。基剤のみ、BPO、アダパレン、BPOとアダパレン合剤の4群に分け12週間塗布してニキビの状態を評価したところ、合剤群が最も効果が高くニキビの数が約70%減少した(出所:Br J Dermatol;161,2009) [右]日本人男女393人(12~50歳未満)を対象とした長期臨床試験。ニキビに対して1日1回夜、BPOを52週間塗布し、経過を観察したところ、ニキビの数は約2カ月で半減し、その後も約80%の改善率が持続した(出所:臨床医薬;30,8,669-689,2014)

 維持療法が重要なのは、ニキビができている人の肌には、赤ニキビ予備軍である白ニキビが次々生まれるからだ。BPOを用いた維持療法では、白ニキビから赤ニキビへの移行を阻止できる。

12週間、204人を対象に2.5%濃度のBPOを使用した場合に、報告された主な副作用。全体の発生率は37.3%(出所:臨床医薬;30,8,669-689,2014)

 だが、赤ニキビが改善したら薬をやめてしまう人が少なくない。「乾燥などの副作用はアダパレンよりBPOのほうが少ないので、乾燥を嫌って維持療法に取り組みにくかった人にはメリットが高い」と林部長。

 また、BPOは耐性菌ができない点も安心だ。ニキビの原因になるアクネ菌やブドウ球菌は、誰の皮膚にもすみ着いている皮膚の常在菌。ニキビ治療で抗菌剤を多用すると、やがて抗菌剤が効かない耐性菌ができてしまう。

 耐性菌が増えると、重症のニキビ患者にとって重要なのみ薬(抗菌剤)による治療が難しくなり、特に欧米では深刻な問題になっている。これに対し、BPOではこれまで耐性菌の報告はない。そのため、標準治療薬として推奨されている。

 BPOの登場で、ニキビの悩みから早く解放される人が増えそうだ。

■この人に聞きました

林伸和さん
 虎の門病院皮膚科 部長。ニキビ治療の第一人者。「赤くなってから慌てる人が多いが、ニキビは白ニキビの段階からきちんとケアすると早くきれいに治せる。早めに皮膚科で相談を」。

(ライター 荒川直樹)

[日経ヘルス2015年6月号の記事を基に再構成]

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