新潟にAKB姉妹グループ 設立の狙いと今後の課題日経エンタテインメント!

AKB48グループのイベント最終日には「緊急告知」と題して大きな発表が行われるケースが多い。新潟でのNGT48設立が大型スクリーンで発表された後に、NGT48第1期生のメンバーオーディションが3月に開催されることが告知された (c)AKS

2015年1月25日、新潟を拠点に国内4つ目となるAKB48姉妹グループ「NGT48」の結成と、専用劇場の設立が発表された。AKB48グループの全楽曲を投票でランキング化する『AKB48リクエストアワー』最終日公演のステージ上で明らかになった「NGT48」。ファンの間では2014年から「次の姉妹グループは札幌が有力候補」とウワサされていた。それだけに日本地図が大型スクリーンに映し出され、何度も札幌、沖縄、宮城などがクローズアップされる演出後の発表には、AKB48グループのメンバーも驚きを隠せなかった。

多数の候補地から新潟が選ばれた理由は、首都圏に住む「ゼロから新グループと一緒に歩みたいファン」を取り込むためだろう。AKB48の姉妹グループは名古屋、大阪、福岡と徐々に首都圏から遠距離に結成されてきた。しかし新潟は新幹線で東京からほぼ名古屋と同時間で移動でき、首都圏からの「劇場公演参戦」も予定しやすい。NGT48の前に結成したHKT48でも初劇場公演から既に3年以上が経過しており、NGT48は多くのアイドルファンが望む「結成時からの応援」ニーズを満たす存在となりそうだ。

NGT48発表直後に驚くAKB48のメンバーたち。総監督の高橋みなみ(右)は「朗報ですね」と場をまとめた後に、「もうここのステージに(全メンバーは)上がりきれない」と話し、会場を盛り上げた (c)AKS

新潟では歓迎ムード広がる

新潟で10年以上愛され続けるNegicco。2003年にJA全農にいがたのキャンペーンで結成以来、活動を続ける新潟発のアイドルユニット。メンバーは左からKaede、Nao☆、Meguの3人組。2014年12月にシングル『光のシュプール』がオリコン週間ランキング5位となり、2015年2月末より全国ツアー中。人気は全国区へ広がりつつある

とはいえ、姉妹グループ結成で最も重要なのは、専用劇場を設ける地元でいかに愛されるかだ。NGT48の発表直後には、既に新潟で10年以上愛され続けているご当地アイドル「Negicco(ネギッコ)」がかわいそう、など否定的な声が多いという報道が目立ったが、新潟での実際の雰囲気は異なるようだ。NGT48のライバルとしてクローズアップされたNegiccoの熊倉維仁マネージャーは「新潟に人が集まる場所ができることは、大きな経済効果を生み出すでしょう。一緒に新潟を盛り上げていければ」と、むしろ歓迎の意向を示す。観光資源が少ないといわれる新潟県をアピールする絶好の機会と、「否定的な意見はほぼ聞こえません」(新潟のテレビ業界関係者、以下同)。

新潟にはサッカークラブ「アルビレックス新潟」が存在する。1999年にJリーグへ加盟し、地域全体でサッカー熱が高まり、地元からの応援を後押しに2004年にはJ1リーグに昇格した。新潟の持つ、こうしたエンタテインメントを一緒に育てる文化がNGT48にも向けられれば、人気グループに育つ可能性は高いだろう。

しかし課題もある。まず、新潟市の人口は80万人強。日本海側最大級の政令指定都市とはいえ、他の姉妹グループの活動拠点と比較すると少なく、「地元ファンと熱心な首都圏からのリピーターだけで採算がとれるのか心配」。またAKB48グループ内で姉妹グループが増加し、他陣営からも個性的な競合が続々登場しているため、アイドルファンの目は肥えてきている。オーディションで合格した1期生が「NGT48推し」のファンをつかむパフォーマンス術を身につけるまでには、かなりの時間がかかりそうだ。2011年11月に初の劇場公演を行ったHKT48は、CDデビューまでに約1年4カ月を要している。NGT48も同様の腰を据えた育成期間が必要だろう。

※名古屋市、大阪市、福岡市の人口は2015年1月1日現在、新潟市の人口は2014年12月末日現在

人口100万人以下の都市に専用劇場を設けるという、新たな挑戦を担うNGT48。軌道に乗れば、同規模の都市に続々と姉妹グループが設立されるきっかけとなる可能性を秘めている。ここ数年の音楽業界を席巻している、ご当地アイドルブームの先行きを占う試金石となりそうだ。

(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)

[日経エンタテインメント! 2015年4月号の記事を基に再構成]

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