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会社の健康診断、拒むと懲戒処分 賞与減額例も

2015/3/16

日経ウーマンオンライン

こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。日頃は病気をされない元気な方も、「毎年の健康診断はきちんと受けている人」は多いと思います。しかし先日、「健康診断を受けるように会社から何度も言われているが、受けなくても問題ないか?」というご相談を受けました。そこで、職場の健康診断について、一緒に考えてみましょう。

■健康診断を受けたくない本当の理由

職場における健康診断は、労働者の総合的な健康状況を把握するために行われるもので、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」と法律で定められています(労働安全衛生法第66条1項)。

企業側としては、労働者の健康状況を把握した上で、その作業に引き続き従事してもよいかなど適正配置を考え、医師等の意見を勘案して必要のあるときは、作業の転換や労働時間の短縮等の適切な措置を講じる義務があります(労働安全衛生法第66条の5)。

ですから、会社としては労働者に健康診断を受けさせる義務があり、労働者も労務をきちんと提供するために受ける義務があるものなのです。個人の判断で、「今年は受けたくない」といった選り好みはできません

ご相談のあった女子社員の小百合さんに、なぜ健康診断を受けたくないのか、その理由を聞いてみました。最初は、「放射能を受けるからレントゲンが嫌」とか「仕事が忙しくて時間がない」など言っていたのですが、よくよく聞いてみると、「会社の担当者に自分の体重を知られたくない」という隠れたお悩みがあったのです。

人それぞれ、個人的な事情があるにしても、労働契約を結んでいる以上は健康診断を受けてその内容を報告する義務があります。

■健康診断の種類

会社に実施が義務付けられている健康診断には、下記の表のものがあります。みなさんに特に関連するのは、「雇入時の健康診断」と、年に1回行われる「定期健康診断」になるでしょう。

健康診断の種類(厚生労働省のリーフレットより抜粋)

職場によっては、健康診断の専用車がやってきて業務中順番に受けている、という方もいるでしょうし、自分で病院を選んで健診を受けている方もいるでしょう。労働安全衛生法では、事業者が指定する以外の医師による健診を受ける「医師選択の自由」を認めていますので、別の医師による健康診断を受けた場合には、その結果を会社に提出する必要があります。なお、受診対象者は正社員ばかりでなく、常時使用されるパートやアルバイトの方も含まれます。

■受診を拒んだら、どうなる?

それでは、健康診断を受けるように、再三にわたり会社から注意を受けているにも関わらず、放置していたらいったいどうなるのでしょう?

労働安全衛生法では、事業者の健康診断受診義務違反において50万円以下の罰金を科していますが、労働者の受診義務違反に対する罰則は設けていません。

しかし、裁判例では事業者は労働者に対して法律上の健康診断の受診を職務命令として命じることができ、受診拒否に対しては、懲戒処分を行うことを認めているケースもあります

つまり、健康診断を受けることを拒み続けていると、業務命令違反で懲戒処分を受ける可能性がある、ということです。

懲戒処分ではなく、人事制度を見直した企業もあります。コンビニ大手の「ローソン」では、2013年度から、健康診断を受けない社員について、賞与を15%減額する制度が導入されており、直属の上司の賞与も10%削減されるという厳しいルールへと見直しが図られました。

あなたの会社に、こうした厳しいペナルティーがないからといって、健康診断を甘く見るのは要注意。職場の定期健康診断は、定められた時期に受けなければならない厳格なルールがあることを覚えておきましょう。

佐佐木由美子(ささき・ゆみこ)
社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。平成17年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、【働く女性のためのグレース・プロジェクト】でサロンを主宰。著書に「知らないともらえないお金の話」(実業之日本社)をはじめ、新聞・雑誌、ラジオ等多方面で活躍。

[nikkei WOMAN Online 2014年10月21日付記事を基に再構成]

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