今回は、雑談で相手の気持ちを引きつけられるようになる極意をご紹介していきたいと思います。ちょっとした表現を押さえるだけで英語の雑談を盛り上げられるようになりますから、どうぞ楽しみながら読み進めてください。
仕事上でもプライベートでも、雑談をする時間はよくあるものですよね。
実は私は、そんなに社交性が高いほうではありません。「雑談しなくてはならない場では何を話していいのかわからなくなる」という方は少なくないと思いますが、私自身、かつては「何を話せばいいのかな」と戸惑ったこともありました。
しかし、効果的に英語で雑談ができるようになると仕事でも私生活でもさまざまなチャンスを手にすることができるようになったのです。
ですから、今この記事を読んでくださっているあなたにもチャンスを手に入れて欲しいという気持ちを込めて、私の学んだコツをお伝えしたいと思います。
まずは相手の目を見て、明るく親しみを込めて挨拶。Ice breakを
日本では、「目上の人の目をまっすぐ見ると、生意気だと思われてしまいそう」と考える向きもあります。しかし欧米ではそのような感覚はありません。「相手の目を見ることで安心感を与えられる」ということを知っておきましょう。相手の目をまっすぐ見て、親しみのこもった笑顔で挨拶すると、それだけでIce breakになり、その後の会話もスムーズになります。挨拶は、ちょっと目上の人なら“Good morning, Mr. Smith.”同僚なら“Hi how are you?”といった簡単な表現で十分です。
相手を褒める言葉をかけて、open heartを
雑談のきっかけとしてお勧めなのは、相手の持ち物や着ている物について「素敵ですね」と褒めること。もちろん、「素敵だな」と思っていないのに無理に褒めるのは誠実ではありませんし、そのような気持ちでは相手に心を開いてもらうのは難しいでしょう。ですから、心から「素敵だな」と思えるポイントを見つけようという気持ちを持って相手に接することも大切だと思います。
具体的に褒めるものは、男性なら靴やネクタイ、シャツ、腕時計など、女性の場合は靴や服、バッグなどがあるでしょう。“Nice shoes!” “Nice tie!” “Nice shirt!” “Nice watch!” “Nice dress!” “Nice bag!”などと言えばOKです。“Nice”の代わりに“I like your shoes.”などとしてもいいですね。
相手の物を褒めると、特に女性の場合は“It's a gift from my husband.(主人からの贈り物なの)”“I got it here.(日本で買ったんですよ)”などと会話が続くことが多いので、“Oh how sweet. You are lucky to have a nice husband.(まぁ、いいですね。そんな素敵なご主人がいて幸せですね)”というように会話をつなげ、雑談を盛り上げられるようになります。もしも会話が続かなくても、相手が心を開いてくれることで次の雑談がスムーズになるでしょう。
共通点を見つけ、rapportを
雑談上手になるための重要なポイントは、相手との共通点を見つけて“rapport(ラポール、話し手と相手の間の信頼関係)”を築くことにあります。共通項があればあるほど相手は自分に安心感を覚えるもの。そして、これは万国共通なのです。
たとえば先の会話の例で、バッグを褒めて「日本で買ったんです」と言われたとしましょう。“Where did you get it?(どこで買ったのですか?)”と尋ねて“Loft in Shibuya(渋谷のロフトです)”と相手が答えたら、“I love there too. (私もそこのお店が好きなんです)”というように相手との共通項につなげていくのがスマートな会話法です。
共通項を見つけて雑談を盛り上げる方法として私がよく使うのは、パソコンやスマホの待ち受け画面などの写真です。外国人は、家族や休暇中の写真を表示していることが少なくありません。それが子供の写真だった場合は、まず“They look so cute.(可愛いですね)”と一言。相手が結婚指輪をしている場合は“Are they your kids?(お子さんですか?)”と直接聞いても大丈夫でしょう。もしそうでない場合は、親戚の子供ということも考えられますから、“Your family?(ご家族ですか?)”と少し婉曲に尋ねると安心して会話が進められます。
家族の話は、共通項が見つけやすいものです。みなさんに子供がいる場合は“I have two kids myself.(私も子供が2人います)”というように共通項を提示すれば、親としての気持ちを共有できるでしょう。子供がいない場合でも、“I would like to have kids like them someday.(いつかそんな子供ができたらと思っています)”と言えば十分に共通項になります。
紹介した雑談のコツ“Ice break, open heart, rapport”を英会話の中で活用してみてください。

同時通訳者。71年生まれ。実践女子短期大学国文科卒業、2004年早稲田大学社会科学部副総代で卒業。短卒後のTOEIC は280点。独自の勉強法で、半年後に805点を取得して英会話学校講師に抜擢。後、TOEIC 950点、英検1級を取得し、短大卒業から3年半で通訳者に。通訳した現場は、5000件以上。
(構成 千葉はるか)
[nikkei WOMAN Online 2014年6月19日付記事を基に再構成]