「奇跡の土偶」が広げる波紋 縄文と弥生のはざま歴史新発見 青森県弘前市の砂沢遺跡

2014/12/9
最新の科学的手法を取り入れた発掘や調査の進展などで、歴史資料の興味深い発見や研究が相次いでいる。全国の掘り出しものの発掘品を紹介する。
藤田記念庭園考古館に展示されている(青森県弘前市)

「ほらね」

腹のあたりでスッパリと折れたように切り離されていた土偶の上半身と下半身が、磁石でひきつけあったかのようにピタリと重なった。弘前大の関根達人教授(考古学)は得意げな笑みを浮かべ、弘前市教育委員会の担当者を見やった。

青森県弘前市三和。霊峰、岩木山の北東麓に位置する砂沢ため池に国内で最北の水田跡が見つかった砂沢遺跡がある。関根教授はため池の水が少なくなる時期を見計らって周辺の様子を時々見に行っていたという。

2009年10月17日、楕円形の物体が2つ並んだような状態で埋まっているのに気がついた。拾い上げると土偶の下半身で、見えていたのは両足の裏だった。とりあえず関根教授は研究室に持ち帰りしばらく机の上に置いておいた。

翌年になって「青森県史」に掲載されていた土偶の写真に目を引かれた。2000年に弘前市立文京小4年(当時)の工藤雄太さんが学校の考古学クラブで砂沢遺跡に出かけ、拾ったものだった。「腕の部分が見えていてグイッと取ったら折れてしまって、首が残った」と工藤さんは発見した時の様子を今もありありと覚えている。もげた土偶の右腕や首などを家に持ち帰りきれいに洗ってボンドを塗り、形を整えると大柄な上半身になったという。

関根教授は展示されていた藤田記念庭園考古館(同市)で実物を見ていたが、写真を見てひらめくものがあった。同市教委の担当者に土偶の上半身を研究室まで持ってくるよう依頼。合わせてみると、予想通り接合した。切断部分がともに時期的に新しく、疑う余地がなかった。

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