自分がどんな時に不安を感じるのかを知っておく

しかし、不安を感じることは、必ずしも悪いことではないそうです。

「不安から目をそらし、『私は大丈夫』と思おうとすると、課題を他人に投影してしまいます。しかし、大丈夫でない人の方が本当は多いはず。不安を感じるのは当然のことです。何を不安と感じるか、どの程度の不安を感じるかは、人によって違います。というのも、心にも『利き手』のようなものがあり、その人によって物事のとらえ方や考え方の、すなわち認知のパターンがあるからです。自分の『認知のパターン』を理解することで、自分がどんな時にどんなことで不安を感じるかをあらかじめ知っておくと、ミッドライフクライシスを乗り越えやすいかもしれません」

自分の物事のとらえ方や考え方のパターンを知ることは、無意識を意識化することにつながる、と園田さん。

「人間は、自分が知らないこと、わからない物事に不安を抱きます。無意識は、自分が自覚できていない、つまり『わからない部分』。そして、人間の心は、意識できる部分より、無意識の方がずっと大きいのです。しかし、日常的に自分がどんな時にどう物事をとらえ、どこに価値を置いて判断をして、どのように自分や他者、そして現実をとらえる傾向があるのかがわかっていれば、自分が見ている現実とは異なる見方や考え方、そして『現実』の存在に気付くこともできます。人は、自分の心であっても無意識はコントロールできませんが、意識された領域はコントロールができます。意識の領域が増えれば増えるほど、コントロールできる自分が増え、自分に対する安心感、信頼感が増してくるのです」

大切なのは、他人の情報に振り回されるのではなく、意識できていない自分の本音や不安に気付けるような心の状態に、普段からしておくこと。そして、動揺したり、心が落ち着かない時に、それをなかったことにするのではなく、「なぜ」と自分に問うクセをつけておく必要がありそうです。簡単に答えは出ないかもしれません。しかし、自分と向き合う姿勢が自分に対する安心感を生み、そしてミッドライフクライシスの出口へと導いてくれるはずです。

参考文献:「MBTIへのいざない-ユングの『タイプ論』の日常への応用」(ロジャー・R・ペアマン、サラ・C・アルブリット著、園田由紀訳、JPP)

この人に聞きました

園田由紀さん
 臨床心理士。東京大学大学院医学系研究科非常勤講師、京都大学大学院医学研究科非常勤講師。心理学を個人や組織の成長に実際に役立てられるよう、有益性が実証されている心理学をベースとした教育プログラムなどを企業や官公庁、医療界など、それぞれにニーズに合わせて提供する株式会社PDS総合研究所の代表取締役社長も務めている。

[nikkei WOMAN Online 2014年7月28日付記事を基に再構成]