ヘルスUP

日経Gooday 30+

がんの告知と「魔の2週間」 日ごろ冷静な人も別人に

2014/12/1

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

その言葉は、ある日不意に言い渡される――「がん」。耳にした瞬間、多くの人は「死」を初めて実感し、自分の「命」を改めて認識するようになるという。今や日本人のおよそ半分が、なんらかのがんにかかる時代。人生、家族、仕事……。がんをきっかけに診療室で繰り広げられる人間模様とともに、がん治療の最前線を歩み続ける森山紀之・東京ミッドタウンクリニック健診センター長が語る、現代人に伝えたい生き方の道しるべ。

■たとえ早期のがんであっても人は必ず取り乱す

「がんの疑いがあります」という言葉を、みなさんだったらどう受け止めるでしょうか。

がんの早期発見に大きな力になっているのが健康診断、がん検診、人間ドックなどの検査です。検査によって早期に発見できたなら、それは喜ばしいことのはず。ところがなかなかそうもいかないのが人間というものなのです。

40代のあるご夫婦のケースです。ある晩、富永大祐さん(仮名)が帰宅すると、奥さんの優美さん(仮名)が真っ暗な部屋で泣いていました。聞けば、以前受けた婦人科検診の結果が出て、「ステージIII」だと言われた、と。インターネットで調べたら「がんが広がっている」「転移が見られる」と書いてあった。「私はがんだ、手遅れだ、もうダメだ」と、優美さんはわんわん泣きながら訴えたそうです。

大祐さんは日ごろ冷静で穏やかな妻の豹変(ひょうへん)ぶりにびっくりしたようです。ステージIIIは確かなのか、そもそも婦人科検診でがんの進行度までわかるのか。しごくまっとうな疑問を口にし、とにかく優美さんを落ち着かせようと「大丈夫、大丈夫」と笑顔を見せたのですが、取り乱している優美さんは聞く耳を持ちません。それどころか「こんなに深刻なのに、あなたは笑っているばかりで、ちっともわかってくれない」と、夫を責める始末……。

■正しく認識していれば大泣きする必要はなかった

実はこの騒動、優美さんが細胞診の判定分類である「クラスIII」を、がんの進度を示す「ステージIII」と、取り違えたことが引き起こしたものでした。

ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL