初心者でも成功 「ラズパイロボ」組み立てに挑戦
Raspberry Pi(ラズパイ)を頭脳とし、2足歩行で歩いて手で物もつかめる可愛いロボット「ラピロ」(RAPIRO)をご存じでしょうか。簡単なコマンドを実行するだけで、様々なポーズを取ったりできます(写真1)。
2013年、インターネットで支援金を募るクラウドファンディング「KickStarter」で1000万円を超える資金調達(7万5099ポンド)に成功し、商品化されました。現在はオンラインショップや秋葉原の店舗などで販売されています(販売店のスイッチサイエンスの価格は4万5360円、2014年11月18日時点)。
ラピロは部品から組み立てて作るロボットキットです。部品点数は多く、実は組み立てるだけで4~5時間掛かるのが通常です。「買ってすぐ遊べるおもちゃ」ではありません。
そんなラピロを購入してみて「独りで作るのは無理!」と困ってしまったのが、Webデザイナーの古村圭加さん(Sophiro代表取締役)でした。古村さんが参加しているラズパイのコミュニティー「Japanese Raspberry Pi Users Group」に相談したところ、ラズパイを組み立てるイベントを開催して、そこで皆で完成させることになりました(写真2)。
結論から言うと、周りの経験者からたくさんの助言を受けたことで、通常の半分の2時間半で無事完成しました。2014年4月に開催された、そのイベントの様子を報告します。
部品にシール貼り混乱防ぐ
まずは開封の儀です。ラピロの頭と胴の部品が上の方にあります(写真3)。
部品を机の上に並べます(写真4)。右下はサーボモーター、右上はネジなどです。
写真5はラピロのサーボなどを動かす「ラピロ基板」です。人気のマイコンボード「Arduino」の互換品です。Raspberry Pi(別売り)をこのラピロ基板に接続して制御することができます。
最初に、サーボへシールを貼っていきます(写真6、写真7)。手足首などを動かす12個ものサーボがあり、サーボ本体とコネクターの先にシールを貼っておかないと、後でどれか分からなくなります。
次に背中に背負う電池ボックスを組み立てます。電極などを取り付けます(写真8)。
シールを貼ったサーボのコネクターをラピロ基板に差し、サーボを初期化します(写真9)。電池ボックスをつないで電源を入れると、ジッという音ともにサーボの軸が所定の位置に初期化されます。これを忘れると、ラピロはうまく動きません。
初期化が終わったら、サーボのコネクターをいったんすべてラピロ基板から抜きます。腰、足、腕、頭のパーツの中にサーボを順に取り付けてネジ止めします。写真10は最初の腰パーツにサーボを取り付けているところです。
腰パーツの上に足パーツを取り付け、その足にサーボを取り付けるとき、特に慎重にネジ止めします(写真11)。斜めからドライバーを差すので、失敗しやすいからです。取り付けると写真12のようになります。足裏の部品でフタをします。
腰パーツに胸パーツを取り付け、腰と足のサーボのコードを穴から上に出します(写真13)。
腕パーツの中にサーボを取り付け、サーボのハネに当たる「サーボホーン」を取り付けます(写真14、写真15)。
腕パーツを胸パーツにつなぐと、ロボットらしくなってきます。サーボホーンを肩の部分にうまくかませることで、腕を上げ下げできます(写真16)。
写真17は腕の装着が完了したところです。ラピロ基板を設置してサーボのケーブルを再び差してフタをします。ケーブルの量が多いので、うまく収めないとフタが閉まりません。途中、胸パーツの中にネジを落とすというハプニングがありましたが、逆さまにしたら出てきたので、分解して組み立て直す必要はありませんでした(写真18)。
目を光らせるためのLED基板を後頭部に取り付けます。+5V、BLUE、GREEN、RED、GNDの端子が出ていて、専用のコネクターでラピロ基板につなぎます(写真19、写真20)。
後は頭パーツを取り付ければ、完成です!(写真21)
完成まで2時間半、注意点はサーボの初期化
ここまで2時間半で大きな手戻りもなく無事完成しました。注意点は、途中でも書いたサーボの初期化です。例えばサーボを腕パーツに取り付け、腕パーツを胸パーツに付けた後、腕パーツを自分の手でつかんで回転させてしまうと、初期化の位置がずれてしまいます。ラピロ基板のソフトウエア設定で後で調整することもできますが、直すのは面倒です。
今回の作業中でも初期化の位置をずらしてしまったため、もう一度サーボをラピロ基板につなぎ、初期化し直す作業が何度か発生しました。
実際には、この後、ラピロ基板をパソコンにつないで設定作業をする必要があります。それで手足を動かしたり、歩かせたりできます。さらにラズパイを頭パーツの中に設置してラピロ基板に接続すれば、ラズパイで無線LANにつなぎ、遠隔操作したり、音声認識させたりなど、アイデア次第でいろいろなことができます。
このイベントには、実に6台のラピロが集結しました(うち2台はこの場で組み立てたもの)。最後は、古村さんが焼いてきてくれた"本物"のラズベリーパイを囲んで記念撮影をしました(写真22)。皆でおいしくいただきました。
たった5000円ほどの小さなLinuxボードで、これだけ夢が広がります。電子工作は楽しいですね。
(日経Linux 安東一真)
[ITpro2014年9月1日付の記事を基に再構成]
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