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25億人に感染リスク…なぜ世界で広がる「デング熱」

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日経トレンディネット
食、医療など"健康"にまつわる情報は日々更新され、あふれています。米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文、米国の状況を交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。今回注目するのは「デング熱」。日本だけではない、世界で感染が広がっているのです。

デング熱に関してさまざまな情報がネット上を駆け巡っています。厚生労働省によれば、海外の流行地で感染し帰国した症例は近年、毎年200人前後報告されていましたが、日本国内で感染した例は、60年以上ありませんでした。ところが、2014年8月以降、東京都立代々木公園をはじめ、日本国内の一定エリアで感染したとされる患者の発生が報告されています。では、2014年の発症例は、日本特異のものなのでしょうか?

今回は、世界の状況も含めて解説していきます。

世界の40%の人に、デング熱の感染の可能性?

厚生労働省の情報によると、日本では過去60年以上、デング熱に国内で感染した症例は報告されていませんでした。ところが、2014年8月以降、153人(10月1日11時現在)の国内感染事例が報告されています(厚生労働省「デング熱に関するQ&A」より)。

このような状況の中、2014年8月27日、世界保健機関(WHO)はジュネーブでの会議で、気候に関連した健康リスクの増大に対し強力な対応を求めました(WHO「WHO calls for stronger action on climate-related health risks」より)。

WHO事務局長マーガレット・チャン博士は、「気候の変化が人間の健康を危険にさらすことは、圧倒的な根拠に基づき証明されている。これに対する解決策は存在しており、我々は現在の軌道を変えるべく、断固とした行動が求められている」と述べています。

WHOによれば、コレラ、マラリア、デング熱は、気象や気候に非常に敏感な感染症です。最近のWHOのデータに基づくと、気候の変化による、病気のパターンのシフトや異常気象などは、毎年数万人の死亡原因となっています。

デング熱のグローバル化

WHOはまた、デング熱の発生率がここ数十年で、世界中で劇的に増加したことを報告しています。現在、世界の人口の40%以上、25億人以上が、デング熱の感染リスクを有しているといいます。また毎年世界中で5000万から1億人がデング熱に感染していると推定しています(症状の有無は別)。

1970年以前に重症型のデング熱が流行していたのは、わずか9カ国でした。ところが今やアフリカ、南北アメリカ、東地中海、東南アジアと西太平洋の地域の100カ国以上で流行するようになっています。特に南北アメリカ、東南アジアと西太平洋地域でのデング熱流行の影響は深刻です。

南北アメリカ、東南アジアと西太平洋の地域では、加盟国から提出された公式データによると、症例数は、2008年に120万人以上、2010年には230万人以上で、その後も症例数は増加し続けています。南北アメリカだけでみても、2013年に235万人のデング熱の症例が報告され、そのうち3万7687人が、重症デング熱でした。

さらに、症例数が増加するだけではなく、デング熱が新しい地域に拡大し、爆発的な流行が発生しています。現在、デング熱の脅威はヨーロッパでも認められます。2010年にはフランスとクロアチアで初めて、国内感染・発症したと見られるデング熱患者が報告されました。2012年にはポルトガルのマデイラ島で、2000例以上のデング熱患者が報告されています。このときの流行は、ポルトガル本土以外のヨーロッパ10カ国にも拡散し、デング熱の発症が確認されました。

2013年には米国フロリダ州と中国の雲南省でもデング熱が発生していますし、南米諸国、とりわけホンジュラス、コスタリカ、メキシコという南米の数カ国でデング熱の流行が継続している状況です。

入院を必要とする重症型のデング熱は、推定毎年50万人。その大部分は子どもで、重症型のデング熱を発症した人の、約2.5%が死亡しています(WHO「Dengue and severe dengue」より)

2013年の春、英国オックスフォード大学の研究者らは、世界的なデング熱分布について詳細な地図を作成し、デング熱の感染による世界的な影響は、WHOの推定の3倍以上であると、科学雑誌「ネイチャー」に報告しました。また、研究者らは、デング熱は熱帯地方全体にわたって遍在し、いくつかの地域では降雨量、温度や都市化の影響を強く受けていることを明らかにしました。

この研究のリーダー、サイモン・ヘイ教授は、以下のように述べています。「気候と人口の広がりが、世界中のデング熱のリスクを予測するための、重要な因子だと分かりました。グローバル化と都市化により、以前は危険にさらされなかった領域にまでウイルスが広がり、将来的には病気の分布が劇的にシフトする可能性も予想されます。その結果、感染数も増加の可能性があるのです。私たちはこの研究で、デング熱が世界に与える影響について、より広い議論が始まることを願っています」と(Nature「The global distribution and burden of dengue」、University of Oxford「Dengue infections 'triple current estimates'」より)。

米国でも流行は見られる

米国で2014年に旅行地でデング熱に感染した症例は、報告されているだけで200人(2014年9月24日現在)で、国内の発症はフロリダの5人(同年9月24日現在)です。

ただし、デング熱はグローバル化しつつあるので、専門家を始め、米国内の症例の増加を懸念しています。米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)は、グローバルなデング熱の流行の地図を共同で開発しました(Centers for Disease Control and Prevention「Dengue Map」)。

日本のデング熱の状況は、米国の大手メディアでも報じられています。ニューヨークタイムズは、以下のように報じています。

「日本でのデング熱流行は、地球温暖化の警告といえます。高い温度と湿度で、蚊が長生きできるため、感染地域が拡大するのです。日本はおそらく、今回のデング熱の流行をきっかけに地球温暖化に関する方針を見直し、強化するのではないでしょうか」(出元:The New York Times「Dengue Fever Hits Japan」)。

大西睦子(おおにし・むつこ)
医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。

[日経トレンディネット 2014年9月12日付の記事を基に再構成]

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