プロの音楽人養成フェスを開催するソニーの狙い
日経エンタテインメント!
ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は2014年9月13日から3日間、"音楽人養成クリエイティブ講座フェス"と銘打った「Sonic Academy」を、同社の本社ビルを中心に開催する。
プロを目指すミュージシャンや音楽業界を志す人間を対象に、音楽シーンで活躍するための実践的な講義を行うイベントで、講師陣に現在も第一線で活動する音楽のプロフェッショナルを迎えているのが特徴。下表で紹介したほかにも、砂原良徳、たむらぱん、ROLLYら人気ミュージシャンなど多彩な顔ぶれだ。
内容も、作詞・作曲や演奏テクニックから、レコーディング技術、"売れる"音楽を作るための考え方などのプロデュース論と多岐にわたる。参加者には、講座とは別に、デモテープの即時審査や、バンドクリニックなどのワークショップへの参加の機会も与えられる。1回90分の講座が3日間で40コマ前後開催される予定。定員は50人前後で、料金は1講座3900円。中学生・高校生を対象に、1日に限りすべての講座を自由に受けられるフリーパスを、各日限定50枚、5000円で提供する。
本気でプロになりたい人への情報提供
「本気でプロになりたいミュージシャンや音楽業界で働きたい人間に、適切な情報を提供するのが最大の狙い」とSonic Academyの担当者は話す。背景には、これまでレコード会社をはじめとした音楽業界側が、人材を育てるための施策が不十分だったという反省がある。
ミュージシャンのオーディションは定期的に開催するものの、アマチュアミュージシャンに対してプロとしての考え方や活動の方法を伝える機会はあまりなかった。プロデューサーやエンジニアなどのスタッフに関しては、社内で自然に育つか、外部で成長した人間と協業するのが一般的だった。
「現在のアマチュア音楽シーンは、楽器の売れ行きがよく、レンタルスタジオも盛況と非常に活気があるように見える。しかし、そこからプロになれる人間が増えたとは言い切れない」と前出の担当者は語る。ネット動画など発表の場が増えたことで、アマチュアとして音楽活動に携わる人間は増えたものの、プロが求めている人材とは乖離(かいり)しているのが現状だという。こうした状況を改善するため、一石を投じるのが狙いだ。
今後は、定期開催を目指し、事業化も視野に入れている。ただし、今回のイベントから利益に直結させるというよりも、こうした本格的なプロ講座に対する需要や、集まる人材の見極めなど実験的な側面が強いという。
(日経エンタテインメント! 上原太郎)
[日経エンタテインメント! 2014年9月号の記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。