誰がどんな目的で情報を提供しているか
ネットは誰でも簡単に情報が流せるだけに、正しいかどうかを見極めるには「誰が」発信しているかが重要です。少なくとも、TwitterやFacebook、YouTube、ブログなどで発信しているものは、それをうのみにせず、情報源をチェックすべきです。
基本的に、各省庁や地方自治体、公的な機関などが発信しているものなら、信頼に足るといえるでしょう。ただし、自治体などのサイトの中には情報の更新が遅くて古い情報が載っていることがあるので、更新された日付のチェックは欠かせません。
マネーに特化したサイトもとてもたくさんありますが、中には誤った情報が載っているものもあります。マネー関連サイトは、「どこが」運営しているかがポイントです。
新聞社や出版社などもともと紙の媒体を発行しているところは、原稿の内容に誤りがないかどうかをチェックする部署や担当者が置かれていて、書かれたものに対して複数の人の眼が入ることによって情報の正確さが保たれています。
この連載でも、私が書いたものに編集者から「〇〇は××ではないでしょうか?」とか「△△は◇◇に修正しました」などと連絡が来ることがあり、誤りを正してもらっています。
一方、ネットのみで情報発信をしている事業者には、こうした編集機能がないところも多く、書かれた原稿がノーチェックで掲載されるケースも珍しくありません。そうすると、誤りがあっても修正されず、そのままネットで流れてしまうことになります。
ですから、マネー関連のサイトなどは、「どこが」運営しているかを確認したうえで利用してください。
金融商品を販売している会社などがマネー情報を発信したりマネーサイトを運営したりしているケースもありますね。しっかりしたチェック機能があり正しい情報をわかりやすく掲載しているサイトもあるとはいえ、サイトや情報提供の目的は、その会社が販売する商品やサービスの購入に結びつけることである点は、頭に入れておく必要があるでしょう。
紙の媒体や電話での確認も大切
資産運用に関する情報もネットにあふれていますね。人気を集めているYouTuberもいるようです。
ネットで収入を得ている場合、閲覧数が多いほど収入が高くなるので、とにかく見てもらうことが重要になります。とっぴなこと、人とは違うこと、目立つこと、ネガティブなことなどが注目を集めやすく、そうした内容のものが発信されがち。でも、それが正しいとは限りません。
また、ネットの情報は断片的で体系化されていないことがあり、物事を順序だてて理解するには不向きという面もあります。
資産運用に関しては新しい情報も必要ですが、基本的な考え方を学ぶには、書籍のほうがよいように思います。資産運用について知りたいと思ったら、「資産運用入門」のような本を1冊読むほうが、ネットであれこれ情報を収集するよりも効率的に、体系的に学ぶことができるでしょう。書籍であれば出版社が内容をチェックしているので、誤った情報に接する可能性も少ないといえます。
冒頭に挙げた、ワクチン接種と保険金・給付金のケースのような場合、もしそれが自分に該当するのであれば、ネットの情報をそのまま信じてあきらめるのではなく、加入している保険会社に問い合わせて確認しましょう。公的な給付金などについても、自分や家族に関係することならば、役所の窓口へ行ったり電話をしたりして、問い合わせや確認を直接することが大切です。
ネットにはなんでも載っていますが、重要なことは自分の目で直接チェックする――それが情報との賢いつき合い方といえます。
(おわり)
