ベアード・ベイ(南オーストラリア州)の海で泳ぎ回るアシカたち (C) Tourism Australia

8D駆使し臨場感たっぷり

臨場感満載の8Dという画期的な立体音響を使った動画「8Dエスケープ」(https://www.australia.com/ja-jp/travel-inspiration/experience-australia-in-8d-audio.html)を配信しているのがオーストラリア政府観光局だ。観光局でこの技術を使った動画は世界初という。360度あらゆる方向から響いてくる音と美しい映像は、まさにエスケープ(脱出)という言葉通り。ノイズキャセリングのヘッドホンをすれば、没入感も抜群。

ウルル、シドニー・オペラハウス、フレーザー島、デインツリー・レインフォレストなどのオーストラリアの観光地の数々が、場所ごとではなく、青、赤、マゼンタ、緑、黒、白という6色のテーマに分類されて登場してくる。色の印象から想起される場面に、実際に聞こえてくる音がかぶるとその場にいるような感じがしてくる。癒やしでもあり、疑似体験でもある動画に仕上がっている。

たとえば「感動の青」を見ると、打ち寄せる波の音に合わせて跳ねるイルカたち(エスペランス、西オーストラリア州)に始まり、ボンベの呼吸音と共に美しいサンゴ礁でのスキューバダイビング(グレート・バリア・リーフ、クイーンズランド州)。聞こえてくるクジラの鳴き声(ハービーベイ、クイーンズランド州)に耳を傾けると、しばし現実を忘れそうだ。「癒やしの緑」の出だし、鳥や虫の声に囲まれた深い森のせせらぎ(デインツリー・レインフォレスト、クイーンズランド州)では、熱帯雨林に分け入る気分がたっぷりと味わえる。

インスタグラムに投稿されたかわいい表情のカンガルー  (C) Tourism Australia

オーストラリア政府観光局では、旅のインスピレーションとなるこうした動画や画像に力を入れており、2011年に開設したインスタグラムの公式アカウント「@australia」のフォロワー数は、観光局としては最多数の500万人を超えているという。投稿画像は1万枚以上で、中でも人気を集めるのは動物たちの愛らしい動作や無垢(むく)な表情なのだとか。さすが生物多様性と固有種の宝庫と言われるオーストラリアである。

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大人もぐっとくるアニメも