「クリスピーチキンバーガー」(右手前)にプラス400円で、サイドメニューとドリンクが一品ずつ選べる「コンボ」メニュー

クリスピーズバーガー:自社で焼成するバンズにもこだわり

3軒目は今年7月、東京メトロ副都心線西早稲田駅近くにあるショッピングセンター・オレンジコート内にオープンした「Crispy’s Burger(クリスピーズバーガー)」。砕いた無糖のコーンフレークを衣に使い、店名の通り、カリッサクッとした食感のクリスピーチキンが入ったチキンバーガーが看板メニューだ。

同店を展開するのは、ベーカリーカフェやバルなどを都内に7店舗展開するFULL AT TABLE (フルアットテーブル、東京・港)。代表の矢吹通康さんは、新型コロナウイルス禍による休業や時短営業に見舞われた昨年、デリバリー営業を始めるにあたり、新規メニュー開発に着手。自社で焼いているこだわりパンを使ったハンバーガーにしようと調査したところ、ほかのデリバリーメニューはほとんどがビーフを使用していたため、差別化のためにチキンバーガーを選んだと話す。

「衣がサクサクとした韓国のチキンが日本でも人気だったことに着想を得て、クリスピーチキンを使ったハンバーガーを作ろうと思いました。カフェを営業していない夜の時間帯を利用し、デリバリー専門のチキンバーガーをテスト販売してみたところ、リピーターも多く、評判は上々。その後、専用の店舗を構え、本格的にスタートさせることにしました」(矢吹さん)

ショッピングセンター内の一角に店舗を構える。親子連れや、近隣の企業で働く人のランチ利用が多いという

使用しているのは鶏モモ肉。肉に水分と調味料の味を含ませるため、塩や砂糖などを独自の配合で合わせた“ブライン液”と呼ばれる調味液に一晩漬けておくのがポイント。火が通るとしっとり、ふっくらとした食感になり、クリスピー感のある衣との食感の違いが楽しめる。ここに、トマト、レタス、チーズ、オリジナルのサザンソースを加えてバンズではさめば、「クリスピーチキンバーガー」(580円)の完成だ。

チキンの食べごたえのある食感に負けないよう、バンズはこだわった。香りの立つ全粒粉を使い、一部に熱湯を加えてこねる湯種(ゆだね)という処理を行うことで、しっとり・もちもちとした食感で弾力のあるバンズができる。チキンもバンズも食べごたえがあり、男性でも満足できるボリュームにした。バーガー類は「スイートチリバーガー」「テリヤキエッグチキンバーガー」(いずれも580円)など6種類あり、1日平均100個ほどを売り上げる。

ブライン液に一晩漬けたチキンに衣をつけ、180度の油で5分揚げれば、クリスピーチキンが完成

現在は西早稲田の店舗のほか、12月9日までの期間限定で、東京ドーム(東京・文京)内グルメストリートにポップアップ店舗が出店中。観戦グルメとして売れ行きは好調で、すでに新たなリピーターも生まれているという。「チキンバーガーは、日常的に食べるのはもちろん、レジャーシーンなどハレの日にも向いているメニュー。家族や友人同士で楽しく、おいしく食べていただきたい」(矢吹さん)

今回取材した3店は、すべてこの夏オープンしたばかり。東京で緊急事態宣言が発令されるなかでの開店となったが、いずれの店舗もテークアウト利用を中心に上々の売れ行きで、各社手ごたえを感じているという。チキンバーガーは定番のビーフハンバーガーと肩を並べる存在となれるのか、今後の展開に期待したい。

(フードライター 古滝直実)

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