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W杯観戦中の意外な現象 原因はトイレ? 編集委員 小林明

2014/8/22

「ある意外なものの変化を通じて人々の行動がつかめる」という話を聞いた。その答えは水道水――。刻一刻と変化する使用量が細かく一元管理されており、家庭の中の生活の様子が克明に浮かび上がるからだ。

最も分かりやすい事例がW杯サッカーの日本戦。

1対2で逆転負けしたコートジボワール戦、1人多い数的優位に立ちながら0対0の引き分けに持ち込まれたギリシャ戦、相手とのレベルの違いを見せつけられたコロンビア戦……。3試合とも惜敗を喫した日本人にとっては悔しい試合だったが、いずれもハーフタイムの15分ほどの間に使用量が一気に増える「駆け込み現象」が読み取れるそうだ。

このほか大地震の直後に、貯水タンクの構造上の理由から使用量が異常に跳ね上がる不思議な現象も起きているらしい。そこで今回は、水道の使用量から見た人々の生活の興味深い断面を紹介する。

■試合前に洗濯、炊事を済ませる

上のグラフは今年6月15日(日)に行われたコートジボワール戦の時間帯における水道使用量(東京都内)の推移である。青線は平均値で曜日や天候などが当日とほぼ同じ条件の日(6月1日、5月25日、5月18日)から算出した。「それぞれ平均値と比較すると、人々の興味深い行動が浮かび上がる」(東京都水道局水運用センター)。

グラフを追ってみよう。この日の試合開始は日本時間の午前10時。天気は快晴だった。

まずテレビ放送が始まった午前9時から試合開始の午前10時まで。通常よりも1割ほど多い20万立方メートル弱で推移しているのが分かる。

「絶好の洗濯日和だったので、試合が始まる前に早く洗濯を済ませてしまおうとしたことが大きな要因」と東京都水道局水運用センターは解説する。炊事やトイレ、洗顔、歯磨き、シャワーなどが試合前に集中したことも影響したようだ。

■ハーフタイムにトイレに駆け込んだ

さらに興味深いのがハーフタイム。

試合が始まると使用量は急速に低下し、前半が終わるころには14万9570立方メートルまで下がったが、ハーフタイムに入ると使用量が一気に増加したのだ。ちょうどくぼみに挟まれた突起物のような形状である。底からピークまで2割ほど増えた計算になる。

「これは前半中に我慢していたトイレに駆け込み、水道の使用量が瞬間的に増えたため」(東京都水道局水運用センター)。さらに炊事、家事、洗顔もハーフタイムに集中しており、増加に拍車をかけたとみられる。

ただ使用量は後半が始まると再び低下。特に後半17分に怪物FW、ドログバ選手が投入され、続けざまに得点を許した「魔の2分」が過ぎたあたりから使用量がどんどん下がった。「多くの日本人が逆転を願ってテレビ中継にかじりついていたため」(同センター)と考えられる。「初戦の勝敗がカギをにぎる」と言われていただけに、より大きな関心が集まったようだ。

試合は1対2の逆転負けでついに終了。その直後から使用量は13万2081立方メートルから16万8218立方メートルへと一気に3割ほど増えた。

このように、人々は試合観戦の時間帯をうまく避けながら、水道を使っていたわけだ。

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