コロナ禍で広がる孤独感 スマホに頼らず屋外で癒やす
どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、"健康"にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。今回は、コロナ禍で外出を控える機会が増えている今、問題になっている孤独とその精神的な影響についてです。さっそく見ていきましょう。
屋外にいるときのほうが幸福感は高い
新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、世界各地ではロックダウン措置などによる精神的な影響が心配されている。そんななか、オーストリアの研究で、屋外にいるときのほうが室内で過ごしたときより孤独感が少なく、幸福感を得られやすいことがわかった(J Happiness Stud.; 電子版Jan.2,2021)。
オーストリアで外出制限が出された2週間後の2020年4月6日に調査を開始。成人男女286人(平均31歳)を対象に精神的な健康感(well-being)について調べた。スマートフォンのアプリケーションを使って、21日間にわたり1日3回の質問に答えてもらった。「孤独感を感じるか」「幸せに感じるか」の質問に0(全く感じない)から100点(とても孤独・幸せ)で評価してもらい、そのとき屋外にいるか、室内にいるかも尋ねた。1日の終わりには、コンピュータ(PC)やスマートフォン、テレビなどの画面の前に何時間いたかを尋ねた。
その結果、屋外にいるときのほうが幸福感は高く、スマートフォンなどの画面を見て過ごす時間は少なかった。反対に、画面を見ていた時間が長いことと孤独感の強さは関連し、また幸福感の低さとも関連していた。屋外にいると幸福感が平均で3.6点上がり、画面を見た時間が1時間増えると幸福感は0.3点下がった。
画面を見ていた時間には、仕事や勉強のためにPCなどを使用した時間だけでなく、友達とのコミュニケーションなどの余暇に使用した時間も含まれる。後者の場合は精神的な健康に良さそうだが、外出制限下においては、有害な影響がそれを上回り、孤独感をやわらげるものにはなっていないようだ。
(文 八倉巻尚子=ライター)
[日経ヘルス2021年4月号記事を再構成]※情報は掲載時点のものです
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。