スラックス風のデザインが人気 すっきりはける一本
「もともと男っぽい印象のアイテムなので、シルエットが太すぎるものは粗野な感じになりやすいです。初めて選ぶのであれば、ジャストサイズではけるものがおすすめです。その中でもセンタークリースが入ったスラックスに近いデザインのものは取り入れやすいですよ」
東京都渋谷区にある「ZABOU(ザボウ)東京」の大井勇人氏が選んでくれたのは、ドイツ軍が採用していたカーゴパンツのデッドストック(新品のまま長期間倉庫に置かれていた製品)だ。

「なんといってもミリタリーウエアらしからぬドレッシーなデザインとシルエットが魅力的です。上品なデザインに一目ぼれしたというお客様もいらっしゃいます。デッドストックなので、古着に抵抗があるという方にも好評です」
この商品を目当てに訪れる客もいるほど、人気があるアイテムだという。トラディショナルなスタイリングを強みとする同店おすすめの着こなしも聞いた。
「白のオックスフォードシャツと黒のローファーなどを合わせたいですね。アイテム自体に個性があるので、シンプルな組み合わせでもこなれた印象に見えます。トップスもジャストサイズに近いものを選ぶのがいいと思いますよ」
人気の「M-47」を再現 シルエットは日本人向けに
東京のJR高円寺駅近くにある「Lampa(ランパ)」(杉並区)店主の遠山勇氏にも話を聞いた。紹介してくれたのは、日本発のブランドであるOrdinary fits(オーディナリーフィッツ)が手がける、ミリタリーに特化したレーベルの一本だ。
「今ヴィンテージ市場で圧倒的に人気を集めているのが、フランス軍の『M-47』の後期モデルです。これは、それを忠実に再現した一本です。紡績技術が発達していなかった1960年代の雰囲気をあえて再現した、色ムラのある生地が魅力ですね。ディテールも当時のものを徹底的に踏襲しています」

ヴィンテージ市場で人気のモデルを新品で買えるのはありがたい。いわゆる軍パンらしい迫力がある一本だが、カジュアルウエアとしてはきこなすコツはあるのだろうか。

「日本人体型に合わせて太すぎないシルエットに調整されているので、トップスはややゆったりしたサイジングのカットソーと合わせるのがいいですね。トレンド感を加味した印象になります。あと、最近はあまり見かけないスタイルですが、ボタンダウンシャツと組み合わせて上品にまとめるのも、そろそろ新鮮に見えるかもしれません」
文:FACY編集部 山梨幸輝(https://facy.jp/)
SUITS OF THE YEAR 2021
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