「しんぱち食堂」という定食店がある。炭火焼き干物定食店をコンセプトに掲げ、東京を中心に首都圏18店、大阪に2店、福岡に1店展開している。立地はビジネス街を背景にした繁華街が目立つ。定食店というと、全国チェーンの「やよい軒」や「大戸屋」を思いつくが、これら2チェーンにはない「男前」ぶりが「しんぱち食堂」にはある。
主力商品は、魚の干物。イワシやホッケ、アジ、サンマなどの定番に加え、サーモン、トロニシン、本サワラ、アカウオなどを取りそろえている。「やよい軒」や「大戸屋」も魚の定食を置いているが、「しんぱち食堂」ほどの品ぞろえはないようだ。中でもイワシを定番商品にしているチェーンは、ほかではまず見たことがない。半身なども含めて、魚のメニュー数は22も。

これを炭火で焼く。店の厨房には、独自開発した炭火焼き台があり、通常よりおよそ半分の時間で焼き上げることができ、しかも遠赤外線効果でふっくらと仕上がるという触れ込みだ。
もちろん、肉類の定食もあり、鶏・豚・牛をショウガ焼きなどにして鉄板で提供しているが、基本の肉類メニューは5種のみ。そして、店内は、カウンター席が中心だ。江戸時代の定食店をイメージしたそうで、ややあめ色になったカウンターがそんな雰囲気も感じさせる。
「やよい軒」や「大戸屋」は数百店の店舗を持つ定食チェーンの大手だ。もちろん、コスパもよく、味も満足できるのだが、野菜をふんだんに使った炒め物などがかつてより増えていて、イメージとしては小型の和食ファミリーレストランだ。シニア層の利用者も多い。

対する「しんぱち食堂」は、そこには目もくれず、ご飯は白米のみ。五穀米などの変わりご飯はない。味噌汁も店内で引いただしを使った1種類のみ。正々堂々、「男前」を貫いている。