日本固有の白ブドウ品種「甲州」。最近は国際コンクールでの受賞も目立ち、品質の向上が目覚ましい。味わいのスタイルも、従来の繊細なものだけでなく、香り華やかだったり、スパークリングやオレンジワインだったりと選択肢が増え、1つの品種で多彩な楽しみ方ができるようになった。日本ワイン専門店に、「店のイチ押し」と「定番」、「変わり種」を1本ずつ選んでもらった。
ワインショップ「カーヴドリラックス」(https://www.cavederelax.com/)のイチ押しは、ベルウッドヴィンヤード(山形県上山市)の「コレクション クラシック 甲州 2020」(2530円)。甲州は山梨のイメージが強いが、山形でも江戸時代から栽培されている。カーヴドリラックス営業部統括マネージャーの人見裕介さんは「山形の甲州は酸味がシャープで、白桃のような華やかで爽やかな香りがしっかりと広がり、冷涼な土地の個性がとてもよく出ている」と解説する。

定番は、くらむぼんワイン(山梨県甲州市)が手掛ける「スパークリング 甲州 NV」(2310円)。「山梨の甲州らしく、カボス、柚子(ユズ)、夏みかんや花梨(カリン)のような黄色やグリーンの和かんきつ系の香りと果実味が、炭酸ガスとともに爽やかに口に広がる。さらりとのめる軽やかさがあり、いつもの1本として重宝すること間違いなし」(人見さん)。
変わり種の1本は、酒井ワイナリー(山形県南陽市)が醸造する「尉鶲(ジョウビタキ) 2020」(2970円)。白ワインは通常、絞った果汁だけを発酵させるが、オレンジ色の外観のこのワインは、皮ごと発酵させて皮の色素とタンニン(渋み)をワインに移した、いわゆるオレンジワインだ。「皮から来る少々の渋みが味わいを下支えし、そこに果実味と酸味がバランスよく乗っている。旨(うま)味も感じる変わり種の1本」(人見さん)。微発泡なので、すっきり感がより引き立つ。