ワインショップIMADEYA(https://www.imaday.jp/)のおすすめは同様に次の3本となっている。

山梨県・ダイヤモンド酒造の「THE甲州」(写真は2019年ヴィンテージ)

ダイヤモンド酒造(山梨県甲州市)の「THE甲州 2020」(1881円)。フランス・ブルゴーニュで修業した醸造家の雨宮吉男さんが手掛けるこのワインは、「メリハリと共に、ふくよかな果実味にしっかりとした酸があり、海外のワインが好きという方にもおすすめしたい」(ソムリエの資格を持つ営業企画部の白土暁子さん)。棒棒鶏(バンバンジー)や塩タレの焼き鳥などと好相性という。

勝沼醸造(山梨県甲州市)の「アルガーノ ボシケ 2018」(3300円)。「爽快なグレープフルーツのような香りが特徴。みずみずしい果実味の後から、甲州の特徴の1つであるほろ苦さが感じられ全体の味わいを引き締めている」(白土さん)。粉山椒(サンショ)やシソなど、日本のハーブを使った料理がおすすめだ。

ココ・ファーム・ワイナリー(栃木県足利市)が手掛ける「甲州F.O.S.」(3000円)。山梨産の甲州で造るオレンジワインで、「こはく色の外観に、杏(アンズ)や黄桃の香り、オレンジワインならではの紅茶のような渋みが魅力」(白土さん)。野菜の天ぷらやフリットなど、揚げ物と合うという。

偶然にも、変わり種はいずれもオレンジワインだった。皮由来のタンニンが、ワインに厚みとアクセントを加え、ちょっと違う甲州を演出しているようだ。定番を含めスパークリングワインが2本入ったことも興味深い。泡は香りや清涼感を増幅させる役割があるので、甲州と相性がよいのかもしれない。

カーヴドリラックスの人見さんによれば、甲州は味わいの違いで、大きく3つのタイプに分けることができる。

第1のタイプは、シュール・リー製法を用いた伝統的な甲州。シュール・リーとは、発酵が終わった後もすぐには澱(おり)引きせず、しばらく澱と一緒に置いておくことでワインの香りや味わいに厚みや複雑性を与える醸造法。シュール・リーはフランス語で「澱の上」という意味で、海外でもよく使われる手法だ。甲州は欧州品種に比べると香りが弱いと言われ、その弱点を補うために取り入れたのがシュール・リー。現在でも、「主流のタイプ」(人見さん)という。

第2のタイプは、栽培方法を工夫することでブドウの実の凝縮感を高め、シュール・リーに頼らなくても、しっかりとした香りや味わいを感じるタイプ。栽培に手間がかかることもあり、このタイプは少ないという。

第3のタイプは、収穫時期を早めたり特定の酵母を使ったりすることで、ソーヴィニヨン・ブラン種にも似たグレープフルーツやパッションフルーツのような華やかな香りを引き出したタイプ。シャトー・メルシャンが2003年に、この香りの元となる化学物質を甲州種の中に発見した。同社の「甲州きいろ香」シリーズがこのタイプだ。

これらにスパークリングワインやオレンジワインが加わることで、味わいが一段と多様化する。甲州はワインにしてはアルコール度数が低めで、最近の低アルコール化のトレンドにもぴったりだ。いろいろ試してみて、味わいの違いを楽しんでほしい。

(ライター 猪瀬聖)

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