(3)行動改善・自己成長につなげる多面評価の実践

多面評価を企画する人事部門の立場で考えると、評価結果を育成のみならず、異動配置の参考情報として活用したい思いがあるため、どうしても評価項目が多い総合評価になりがちです。以下の改善ポイントを踏まえ、自分で多面評価を運用してみることをお勧めします。

・評価項目(評価対象領域)を「自分の強み」に絞る
・点数評価ではなく、コメント形式で評価してもらう
・評価される側(被評価者)が評価者を選定する
・評価項目(どこを評価してほしいか)について評価者へ事前に知らせておく

まず、「評価項目を自分の強みに絞る」のは評価を受ける側が自覚している強みを評価してもらうことで、心理的なショックを軽減させる狙いがあります。強みであれば気持ちに余裕を持てるため、ポジティブでない評価結果でも他人に自分の強みがどう映っているのかについて冷静に受け止めやすいと考えられます。評価項目は1~2程度で、例えば「課題形成力」「人材活用力」といった領域での日常の執務態度を評価します。

次に「点数評価ではなく、コメント形式で評価してもらう」のは執務の言動や態度、姿勢といった数値で測りにくく、目に見えないものを評価するため、「よい点」と「改善点」についてコメントで評価してもらう方が分かりやすいからです。

「評価される側で評価者を選定する」のは、普段から接触頻度の高いメンバーを選定することで、評価結果の納得感が高まります。「この人がこのように指摘しているなら、そうなのだろう」と受け入れ感情も芽生えやすく、具体的な話も聞きやすいと思います。評価メンバーは3~5人を選出するのが適当でしょう。評価を依頼する人には「限られた領域の評価であって、私を総合的に評価するものではないこと」を伝えておけば、評価者の心理的な抵抗感も軽減し、成長に向けた改善点といった建設的なことも指摘しやすくなると考えられます。

最後に「評価項目について評価者へ事前に知らせておく」のは、評価者が意識を持って観察してもらうことができ、印象評価を回避できます。最低3か月~半年程度の観察期間を通じて評価してもらった方がよいでしょう。

次のページ
(4)ディスクロージャーとフィードバックで未開の自
ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら