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セリフのテンポが上がりスピーディーに

(左から)キャストの上白石萌音、井上芳雄、堂本光一、音月桂

ストーリーやキャラクターは変わらないですが、光一君と僕が演じる役の違いはより明確になりました。光一君が演じるアーサイトは、前へ前へと進むまっすぐなタイプの騎士ですが、僕が演じるパラモンは本当にこれでいいのだろうかとか、本当は戦いたくないと思っていたり、悩んだり迷ったりするタイプ。同じ女性を2人で奪い合うのも、パラモンの方はすごくほれているというよりも、アーサイトへの対抗心からというところがあります。そんなふうにキャラクターが深まり、より演じやすくなったと感じています。

僕自身の変化で言えば、セリフがとても言いやすくなりました。シェイクスピアのセリフなので、普通の口語ではなく朗詠調で、倒置法や体言止めもあります。普段言い慣れないので、初演では苦労した覚えがあります。今回は再演なのに加えて、今年に入ってから『日本人のへそ』『首切り王子と愚かな女』とストレートプレイ(セリフだけの演劇)が続いたので、セリフを言うことに対する抵抗感がなくなってきたのでしょうか。セリフがなじんできて、その分テンポが上がって、スピーディーになっている気がします。

光一君とは、久しぶりに作品で一緒になり、取材を受けたりすると、やっぱり安心感や安定感があって、刺激も受けます。光一君は稽古と同時進行で、ソロのコンサートツアーがあり、9月から帝劇で上演される『DREAM BOYS』というジャニーズの後輩たちの舞台の演出もしていました。この3年で状況が変わり、すごく忙しくなっているので大変だと思うのですが、それを生き生きとやっていて、すごいなと感心します。『ナイツ・テイル』の稽古は相変わらず本気で臨むので、夕方になると僕たち2人とも疲れて、居眠りしたりするのは今回の再演ならではの現象かな(笑)。ほかのキャストの方もみんなすごくいい雰囲気なので、『ナイツ・テイル』が戻ってきたという感じがします。

光一君は演出もやっているから、動きにしてもすごく考えながらやるし、周りの全体を見て、その役柄にはこっちのほうが合っているんじゃないかといった話もします。僕は基本的に自分のことしか分からないので、視点が全然違っているとあらためて思います。それと、『SHOCK』がそうであるように、再演を重ねることに慣れているというか、深めていくのが得意なんだなと。僕は毎回あえて忘れてしまうところがあるのですが、光一君はポイントをちゃんと覚えています。歌も踊りもできるし、お芝居もずっとやっているからミュージカル俳優として必要な技術をすべて持っていて、さらに演出もやるので、すべての要素が物語のためにあるという方向性がはっきりしています。その上で、圧倒的に「華」があるのが光一君の特徴です。こればかりは努力でどうにかなるものではなくて、やっぱりスターなんですね。今回の新曲は、1人で歌い踊るのですが、それって成立させるのがすごく難しいことで、華があるからこそ成り立つ場面です。その一方で、舞台に立つ直前まで「できるかな」とか「心配だな」とか、ずっと弱音を吐いているので、そこのギャップが人としてチャーミングなところでもあります。

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『ナイツ・テイル』にしかない空気感と世界観