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働き方・学び方
リーダーの母校

2021/9/6

リーダーの母校

兄と同じく地元の名門、兵庫県立神戸高校に進む。戦後間もない学制改革までは神戸一中と呼ばれ、東京府立一中(現:日比谷高校)、愛知一中(現:旭丘高校)と並び「一中御三家」と称された伝統校だ。

野外活動部にのめり込んだ神戸高校時代を「計画を立てて物事を進めていくのがおもしろかった」と振り返る

神戸高校(以下、神高)はあらゆる高校の中で家から一番近く、小学校や中学校よりも近かったので、小さい頃から身近な存在でした。そのせいか我が家は兄も妹もそろって神高です。小・中・高全部学校が山の麓にあったので、12年間、毎日山登りをしていたようなもので、足腰が鍛えられました。何かしら負荷がかかったほうがやる気が出るのも、そういう環境で育ったことと関係しているのかもしれません。

神高の校訓は「質素剛健」「自重自治」。英国のパブリックスクールを模しているとのことで、入学と同時に岩波新書の『自由と規律 イギリスの学校生活』を渡されました。やや古風なところも感じていましたが、実際、非常に自由な校風で、私自身、親には放任されて育っていましたので、その意味で自分に合っていたと思います。入学するまであまり知らなかったのですが、卒業生には作家の村上春樹さんや、実業家で吉田茂元首相の側近だった白洲次郎さん、ソニー創業者の井深大さんら著名人がたくさんいます。私たちの代では、同級生のお母さんが村上春樹さんと同期だったいう話題もありました。

神高では顕著な研究・活動をした個人、グループには「井深杯」が授与されます。井深さんのことを知ったのはそれがきっかけで、自分が起業する際に改めて井深さんの本を読み、こんなにすごい人がOBにいたのかと誇らしい気持ちになりました。特にソニーの設立趣意書の冒頭にある「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という文言は最高にカッコいい。創業の精神としても、ものすごく共感を覚えます。私にとって神高で一番のOB自慢は誰かといえば井深さんになりますね。

神戸高校では野外活動部に入り、六甲山系や修験道の場として知られる奈良県の大峰山系などを縦走した。この部活体験は、のちのビジネスにも生きているという。

兄が入っていた山岳部は高校総体でも強豪でしたが、私は競技山岳ではなく、自由に自然の中で遊びたかったので野外活動部に入りました。基本は登山を中心とするワンダーフォーゲルなのですが、夏は海にも行くので野外活動部という名前になっていました。思い出深いのは、六甲山系の十数連峰を走り抜ける「六甲山全山縦走」、今でいうトレイルランのタイムレースです。神戸市の須磨から宝塚市まで56km、歩くと13時間ぐらいかかるコースを、6~7時間で走り切るのです。事前に4分の1ずつ登山をして道を覚え、30箇所くらいあるタイムポイントの間を、それぞれどのくらいの時間で走るか分刻みで計画を立てて本番に臨みます。極めてストイックで苦しいレースなのですが、私はなぜかこれが結構好きで、普段から摩耶山を走り込むなど非常に前向きに取り組んでいました。

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