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デンシバ Spotlight

プラ新法先取り PET回収で企業・自治体の連携広がる

2021/9/5

デンシバ Spotlight

飲料各社は再生樹脂の使用拡大を進めている
飲料各社は再生樹脂の使用拡大を進めている

企業と地方自治体が使用済みペットボトルのリサイクルで連携する動きが広がっています。セブン―イレブン・ジャパンは今秋から回収対象地域を拡大する予定で、キリンホールディングスも実験を始めました。2022年春の「プラスチック資源循環促進法」施行で、条件を満たした事業者は広域でリサイクルを手掛けやすくなります。新法を先取りする形で企業は環境負荷を軽減する原料調達を急ぎ、ごみ問題に悩む自治体も取り組みを後押ししています。

ペットボトルのPETはポリエチレンテレフタレートという樹脂の名称の略で、原料は石油です。日本では仕様が統一されており、リサイクル工場で何度もボトルに再生するボトル・トゥー・ボトルに向いています。ただ街中の分別回収箱にはごみを捨てる人もいて、不純物が再生の妨げになっていました。

問題解決のために登場したのが自動回収機です。ラベルが付いたままのボトルや缶を機械がはじき、再利用に適した状態のボトルだけを集めます。一方、利用者は回収機に入れたボトルの本数に応じてポイントを受け取ることができます。

セブン―イレブンは関東を中心に730台を店頭に設置。最近は川崎市と連携して増設を急いでいます。三重県のリサイクル工場が今秋稼働するメドが立ったため、下期は西日本にも広げ、22年2月末までに追加で約800台増やす計画です。

同社は店舗が立地する自治体と相談しながら回収を進め、工場で再生した樹脂は自社企画飲料のボトルに使います。現状では回収ボトルを資源として活用するには、自治体ごとに相談する必要があります。プラスチック新法では一定の条件を満たせば自治体ごとの相談が不要になり、22年度以降はさらにリサイクルに力を注ぐ方針です。

キリンホールディングスは飲み残し混入を防ぐためペットボトルを逆向きに回収機へ入れる仕組みにした(横浜市内のローソン店頭)

キリンホールディングスが横浜市内のローソンに設置した回収機は、使用済みボトルを逆さにして飲み口を差し込む仕様にしました。飲み残しの混入を防ぐのが目的です。回収したボトルはローソンから購入し、「生茶」などのボトルに再生します。横浜での実験結果をみて回収機の仕様を調整し、全国のローソンに設置する計画です。

大手を中心とする飲料7社は、27~30年までにペットボトル原料の再生樹脂比率を50~100%に高める計画です。市場占有率を考えればボトル入り飲料の約7割を再生樹脂で賄う必要があるとの試算もあり、現状(12.5%)を上回ります。再生した繊維を衣料に使う事例も増えており、再生樹脂の確保が課題となりそうです。

石油の節約につながる再生樹脂の調達費を抑えるには、オフィスなどから出る事業系ごみの分別も強化し、消費者が資源回収の効率改善に協力する必要がありそうです。

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平沼光・東京財団政策研究所研究員「資源として利用し