――EUにとって、廃棄物は「ゴミではない」と。

「そうです。大半の廃棄物はお金を払って取引する資源と位置づけています。リサイクル事業者は廃棄物を広域から大量に集め、徹底的に分別することで、再利用できる鉱物などをメーカーに卸したり、工場で再生処理したりします。すべての分野の生産者がリサイクル業者の活動に協力することで規模の経済が働き、リサイクル事業がなりわいとして成立するのです。欧州にはヴェオリアやスエズなど巨大リサイクル事業者が育っています」

「日本では品目別のリサイクル法のもとで、製品の生産者が廃棄物の処理に関する責任を負う方式を採用しています。廃棄物回収から選別は各産業の専門事業者が担い、廃棄物処理から販売は廃棄物処理業者が担うというように細分化されています。再利用できる資源を集めても量や行き先が限られてしまいます」

――使用済みプラスチックについては、容器包装リサイクル法の対象などを除けば、日本では廃棄物として燃やして処理する量が多いですね。いわゆるサーマルリサイクルです。

「日本では再利用やマテリアルリサイクルが十分に行われずに、焼却されたり海外に輸出されたりしてきました。ところがバーゼル条約の改正や新興国の政策転換により、廃プラスチックの輸出は行き詰まっています。日本はまずサーマルリサイクルから脱却しないといけません」

再生樹脂をペットボトルの素材に使っていることを示す飲料が増えている

「EUでは焼却処理はどうしても再利用できないときの最終手段でしかありません。EU主導のルール作りにより、焼却処理しかできない素材・設計の製品はグローバル市場で売れなくなる懸念があります。日本でもあらかじめ廃棄物の管理・処理に関する優先順位を明確に決めておき、設計段階から、後々も資源として利用し尽くすための仕組みをつくる必要があります」

――製品を使い終わった後、資源を取り出して国内で繰り返し利用できるようになれば、海外の資源国との関係も変わるかもしれませんね。

「地中に埋蔵された天然資源に乏しい日本は、資源を輸入に依存せざるをえず、供給が不安定になったり価格が高騰したりするたびにおびえてきました。資源を再生・循環させるサーキュラーエコノミーに転換できれば、資源エネルギーの海外依存から逃れられるチャンスです」

――国際標準化機構(ISO)でも欧州主導でサーキュラーエコノミーの国際標準化を構築する作業が始まっているそうですね。日本企業が世界でビジネスをしていくには、どうしたらよいでしょうか。

「ISOでは実績を積んでいる国や人物の意見が通りやすい傾向があります。日本も早急に官民で資源循環を実践し、発言力をつける必要があります。そうしないと、再生資源の使用比率が一定水準を超えない日本製品は海外では売れなくなるという可能性も否定できません」

(毛利靖子)

ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら