<膝関節の痛み予防>
太もも~膝の前面ストレッチ(大腿四頭筋~膝蓋靭帯)

私もやってみた。膝はもちろんだが、思っていた以上に太ももの前側がジンワリと伸びる。普段は意識していなかったが、太ももの前も動かさないと縮こまるものだと実感。
ただ、運動不足の身ではバランスを崩しやすいので、寝そべった状態で行うのも良いだろう。
――平泉医師「太ももの前側(大腿四頭筋)と膝の前面(膝蓋靭帯)はつながっているので、同時に伸ばすことで膝の柔軟性を取り戻すことができます。運動の前だけでなく、普段から気づいた時に伸ばしておけば、急に走った時や長距離を歩いた時にも膝を守ってくれますよ」
アキレス腱を守るためのストレッチ
「アキレス腱の痛み」は想像しやすい。体育の授業の準備運動でも、「アキレス腱を切らないようによく伸ばしておきましょう」とよく言われていた気がする。
――平泉医師「『腱』は、骨と筋肉をつなぐバネの役割をしています。中でもアキレス腱は、かかとにかかる荷重の調整役。ジャンプや走る際に重要になってきます」
箱根駅伝の選手が走る様子を撮影したことがあるが、ほとんど地面に足がついていないように見えた。
――平泉医師「特にトップアスリートは腱のバネの力(張力)を使って飛び跳ねるように走ることで効率的に推進力を発生させています。バネの強度を上げ、ケガをしないためにも、バネとしての腱の柔軟性は大切なのです」
アキレス腱が切れやすい人もいるのだろうか?
――平泉医師「運動不足だと、アキレス腱の柔軟性が落ちてバネが弱くなっています。そのため、急に運動を始めるとアキレス腱周辺に炎症を起こしやすく、アキレス腱線維が部分的に切れやすくなるので注意が必要です」
早速、アキレス腱を守るためのストレッチを教わった。
<アキレス腱の痛み予防>
階段つま先立ちストレッチ(カーフレイズ)

私もやってみた。アキレス腱はもちろんだが、デスクワークで凝り固まったふくらはぎまで伸びて気持ちが良い。
――平泉医師「このアキレス腱伸ばしと膝や太ももの前を伸ばすストレッチを普段から心がけていれば、運動時の故障を防ぐだけでなく、ランニング時にバネの効いた効率の良い走りができるようになるはずです」
トップアスリートさながらに飛ぶような走りができるのであれば、ぜひ毎日のストレッチ運動として取り入れたいものだ。
次回は故障トップ3のもう1カ所「股関節」について解説いただく。
(イラスト 平井さくら)
[日経Gooday2021年8月30日付記事を再構成]

