NTTドコモが推すスキル本 コロナ禍で必須「書く技術」

NTTドコモで人材の採用・育成を担当する藤崎秀平さん
NTTドコモで人材の採用・育成を担当する藤崎秀平さん
人気企業・注目企業が新人教育で使ったり、新入社員に推薦したりしている書籍と、各社の人材育成戦略を取り上げるシリーズ「社会人1年目の課題図書」。第9回はNTTドコモです。

大手通信キャリアの国内トップで、インフラ企業としての安定性から就職人気も高いNTTドコモ。人材の採用・育成を担当する藤崎秀平さんによると、同社では内定者向けに毎年30冊あまりの推薦図書を提示している。

「学生時代の最後の時間を有益に使ってほしいので、絶対に読むようにという強制はしていません。ただ、私が人事を担当するようになった4年前と比べても成長意欲が高い学生が増えている。『入社後スタートダッシュを切るには、どんな本を読めばいいですか』という質問も多いので、それに対するアンサーとしてリストを出しています」

リストにはお薦めのポイントも書かれている。例えば『採用基準』(ダイヤモンド社)であれば「グローバルレベルで価値ある人材とは何か、リーダーシップとは何かについて、ヒントを与えてくれる良書。著者はコンサル出身者ですが、平易な文章で書いてくれているので一気に読むことができます」といった具合だ。選書は2000年代のドコモを代表するサービス「iモード」誕生の秘話を描いた『iモード事件』(角川書店)など同社の歴史に関するものから、『道をひらく』(PHP研究所)といった古典的な自己啓発本、『仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)『世界一やさしい問題解決の授業』(ダイヤモンド社)などビジネスのイロハの解説本、ほかに財務諸表の読み方や人工知能に関するものまでバラエティーに富む。

その中で、藤崎さんのイチオシは『入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法』だ。同書はロジカルシンキングの「バイブル」とも言われる『考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則』(バーバラ・ミント著)の内容を日本人向けにアレンジしたもので、著者はミント氏の本の訳者である山崎康司氏だ。山崎氏は企業研修の講師として、世界のコンサルティング業界で使われている論理思考・論理表現のノウハウを日本に広めようと努めてきた。

『入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法』
著:山崎康司
出版:ダイヤモンド社
 著者の山崎氏は企業研修をするなかで、日本人が論理思考に苦手意識を持つ背景に気付く。一つは、主語を省略したり前後のロジックを考えずに文章をつないだりしても違和感を持たれにくいという日本語の特性が、ロジカルな思考の妨げになっていること。さらに日本の作文教育では「起承転結で書け」と指導されることが多く、ビジネスで使うレポートライティングの基礎を学ぶ機会が少ないことだ。同書では日本のビジネスパーソンに向けて、そうしたハンディキャップを乗り越える具体的な方法を指南している。

「成長したい」と考える学生からすると、基礎レベルの本に見えるかもしれない。しかし、藤崎さんはそんな人にこそ同書を薦める理由を次のように説明する。

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