「人生ゲーム」進化重ね67作 コロナ禍で売上高70%増タカラトミー「人生ゲーム」(上)

最新の「大逆転人生ゲーム」は通算67作目にあたる
最新の「大逆転人生ゲーム」は通算67作目にあたる

タカラトミーのボード(盤)ゲーム「人生ゲーム」は、国内のボードゲームとしては最も売れた代表的商品の一つだ。米国のゲームをベースに商品化された人生ゲームは1968年の発売以来、幅広い世代の人気を集めてきた。様々なアレンジが施されて現在まで歴代67作品が世に送り出された点でも珍しい商品と呼べる。人気が衰えない秘密は、時代とともに内容をアップデートしつつ、「山あり谷あり」の人生こそが楽しく味わい深いという本質的なメッセージを届け続けてきた「変化と不変」のバランスにある。

「おうち時間」増えたコロナ禍で売り上げ増

新型コロナウイルス禍に伴い、家の中で過ごす「おうち時間」が増えた2020年。タカラトミーにとって主力商品の一つである人生ゲームの売上高は、年末年始を含めると前年同期比で70%増に達した。68年の発売当時から「家族で遊べる」という点が支持された。出世や資産形成など、大人っぽい要素が盛り込まれていて、人生の先輩である親世代も一緒に楽しめた。大人までも巻き込んで人気となったことが国民的なゲームに育った一因といえるだろう。

「購入者の80~90%が家族で遊ぶ目的で買っています。3世代が同じルールで楽しめて、しかも操作スキルに関係なく対等に勝負ができるというのは、稀有(けう)なゲームといえるかもしれません」

こう指摘するのは、タカラトミーで人生ゲーム事業を担当するエデュテイメント事業室マーケティング課の池澤圭さんだ。「それぞれの時代に合わせて、新商品では『子供でも興味を持つし、知っている、いろんな社会的事象』をタイミングよく取り込み、飽きがこないような工夫をこらしてきました」

たとえば、2021年7月8日に発売された最新作「大逆転人生ゲーム」(歴代67作目)は、マス目にはコロナ禍の昨今を反映した文言が並ぶ。「リモート会議で下だけパジャマなのがバレた。$8,000(8000ドル)はらう」「サブスクで服をレンタル。$26,000はらう」「置き配の荷物が盗まれた。$30,000はらう」――。

50年を超える歴史で初めて「副業カード」も導入。いわゆる本業のほかに、副業カードを獲得することで「動画クリエイター」「フードデリバリー」「ハンドメイド作家」などの副業に就くことができる。「給料日」のマスに止まるか通過すると、本業・副業の両収入が得られるしくみだ。単線的ではなくなりつつある仕事人生の「今」を写し込んだ。

「時代のキーワードを反映しながら、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・あいまい性)と呼ばれる時代を生き抜くために、ルーレットと連動した『大逆転歯車(ギア)』が示すマスで、人生を一発大逆転することが可能にしたのも特徴です」と、池澤さんは説明する。転職が当たり前になり、終身雇用や年功序列が崩れつつある現実と呼応する演出だ。

大逆転のマスにも、「倍返し」(右隣の人に自分の約束手形を全部押し付けられる)や「下剋上」(給料が最も高い職業に就いている人と職業を交換できる)といった、時代を反映した言葉が並ぶ。上の世代が詰まっていて、出世が見込みにくい状況や、スタートアップを起業して一躍、成功者となる夢が広がったビジネス環境が背景にうかがえる。

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最初は反対意見 「子供に金もうけの話はけしからん」
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