カスタマーサクセスに必要な5つのスキル

――新型コロナウイルス禍の影響はあったでしょうか。

「コロナ禍のインパクトは大きかったです。20年後半から21年にかけては、採用数がコロナ前と比べて約2~3倍に増えました。多くの企業がリモートワークを導入しましたし、対面営業の方法や捺印のように、今まで『紙ありき』で処理していたものを見直す必要が出てきました。その結果、一部の大手企業しか使っていなかったクラウド会計ソフトや名刺管理、電子署名といったサブスク型のサービスを、中小企業も導入するようになりました」

リクルートでカスタマーサクセスグループのマネジャーを務める酒井真也さん

「利用者が増えたことにより、SaaS企業がカスタマーサクセスの募集を増やしています。まだ経験者が少ない職種なのに大量に採用しなければならないので、求める人材の条件がかなり緩くなりました。未経験者も含めた採用のハードルが低くなり、コロナ禍で業績が悪化した観光関連などサービス業出身者も多く採用されています」

――カスタマーサクセスに必要なスキルは何でしょうか。

「業務内容が多岐にわたるので、必要とされるスキルは様々ですが、とくに大切なスキルを挙げるなら5つあります。1つ目は顧客が何に困っているのかを聞き出す『傾聴力』。2つ目は利用を促すために課題を見つけ出す『課題特定力』。3つ目は『寄り添う力』。利用者の層が広がり、IT(情報技術)に不慣れな人に向けてオンライン上でいかに分かりやすく丁寧に伝えられるかといった力です」

「4つ目は『人を巻き込む力』。他部署など複数の人を巻き込みながら、顧客の声を商品の改善に生かしていく力です。5つ目は『業務改善力』。カスタマーサクセスという名の通り、顧客が成功できるようPDCA(計画・実行・評価・改善)を回して業務改善を重ねていける人が向いています」

「これらのスキルは営業でも求められるものですが、必ずしも営業経験者である必要はありません。顧客とのコミュニケーションが多く発生する予備校講師やウェディングプランナーといった職についていた人も活躍しています。バックオフィスを担当していた場合でも、複数の部署を巻き込みながら業務改善していったという経験があれば採用につながりやすいでしょう」

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