2021/9/13

残る謎

巨大ガス惑星は、物質の小さな塊から始まり、これがどんどん大きくなって、原始惑星の重力が近くのガスをすべて引きつけることで誕生するとされている。しかし、そのようなシナリオでマンコビック氏とフラー氏が観測したようなコアを作れるかどうかは不明だ。

土星の中心部は45億年の進化の過程で変化した可能性がある。気体の水素が徐々に液体の金属状態へと変化したり、その他の未知のプロセスによって変化したりしたのかもしれないが、「何があったのかはまだわかりません」とマンコビック氏は言う。

もう1つの意外な点は、マンコビック氏とフラー氏が、土星のコアには対流がないと推定していることである。これが本当なら、土星を赤外線で観測したときに驚くほど明るく見える理由を説明できるかもしれない。マーリー氏は、「木星の明るさは、形成から45億年後として理論的に予想されるとおりの明るさなのですが、土星は明るすぎるのです」と言う。「コアに対流がなければ、土星が冷えるペースが遅くなり、予想よりも明るくなります」

しかし、コアが対流していないと、土星の磁場を理解するのが困難になる。通常、惑星の磁場は、内部で対流が起こることによって生成すると説明されている(ダイナモ理論)。しかし、今回の研究では、コアで対流が起こらないことになる。コアの内部か、コアのすぐ外側で、液体の金属水素の薄い層が回転していることも考えられるが、そうだとしても、土星の磁場の対称性を説明するのは難しい。

土星をめぐる疑問を解決するためには、土星探査機カッシーニが収集した膨大な情報を精査し、スーパーコンピューターを使って惑星内部の詳細なシミュレーションを行い、地球上の望遠鏡を駆使して実験を行う必要がある。将来的には、天王星や海王星などの環を精査し、氷の粒子に書き込まれた秘密を解明するのにも、同じ手法が使われるようになるかもしれない。

マーリー氏は言う。「天王星や海王星の環にも謎があるので、同じようなことが起きていないか調べているところです」

(文 NADIA DRAKE、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年8月20日付]

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