――実際は、どれほど買ったんですか。

「毎週末、バーニーズと伊勢丹メンズ館に通って、1カ月で少なくとも百数十万円は使いました。買い物に行くとスタッフの方が、この洋服はこういうところがよくて、このように作られていて……と説明してくれる。それを試着してみると、ほら、いいでしょう、とほめてくれる。ああ、この世界って何だろう、とファッションに対する見方が変わりました」

「チャレンジをほめる文化」と出合う

――そのときの買い物体験で、どんな刺激を受けたのですか。

「僕が学生時代にやっていたラグビーのような体育会の世界ですと、ちょっと変わった洋服を新調して、自分でもおしゃれだなと思って着ていくと、『おまえ、それちょっとどうなの』、なんてさんざんいじられるんですよね。でも、バーニーズのスタッフさんたちは、僕が新しいものを身につけることを称賛してくれる。それ、すごくいいチャレンジだね、と」

ドラマ「スクールウォーズ」の影響を受けて中学からラグビーをはじめて、社会人になってからは4年間、商社リーグでボールを追いかけた。「紺ブレ、レジメンタルタイ、グレーのパンツが20代の正装でした」

「ファッション好きな人というのは常に何かにチャレンジしていて、それをお互いに称賛しあう、そういう文化なんだな、と分かり、感銘を受けました。自分のファッションに対する考え方も180度変わった気がします。僕自身はファッションが映えるキャラクターではありません。服を着こなすことに自分から遠ざかっていました。でもお店での体験があってから、次々とチャレンジをするようになりました」

――100万円以上を投じて手にしたアイテムはかなり冒険的なものが多かったのですか。

「男性でも女性でも、それまであまりファッションに関心がなかった人が急に着飾ろうとすると、どうしても、今まで着なかった色、それも明るくて目立つ色を選ぶことが多いんです。それってファッション初心者であることがバレやすい例で、僕もそうでした。そのときに買った服の中には、今では着られないな、というものが結構あります。ファッションは一夜漬けで身につくものではありませんから」

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バーニーズで知った ブランドの本質は共感
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