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エンタウオッチング

クイズ『小学5年生より賢いの?』 真剣な姿に焦点

2021/9/2

エンタウオッチング

MCは劇団ひとり(左)と佐藤隆太。「ジャンルとしてはプレッシャークイズなので、追い詰めるようにほどよくあおるのが上手な劇団ひとりさんに司会をお願いしました」と関口氏。隣に誰がいたらほっこりするかなと考えて笑顔が印象的だった佐藤にオファーをしたという
日経エンタテインメント!

小学生で習う義務教育の問題に、11問連続で正解すれば、賞金300万円を獲得できる『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(日本テレビ系)。世界40カ国以上で販売されている、アメリカの番組をフォーマットにしたクイズショーで、2019年にレギュラー化された。これまでに全問正解を達成したのは、12組。直近では、小澤征悦と岩田絵里奈アナウンサーの『スッキリ』コンビが、知恵を出し合って300万円を手にした。

スタート時から少しずつ磨いてきたのは「ドキュメンタリーの要素をきちんと描くこと」だと、演出の関口拓氏は話す。

「数あるクイズ番組のなかで、解答者が1人、もしくはペアの2人だけというのが、弱みだけれど魅力にもなると思っていて。挑戦者の賞金にかける思いが分かると、より応援したくなる。バックボーンを伝えるためにナレーションを入れたりと、ドキュメントの部分をどんどん強めています」(関口氏、以下同)

そのきっかけとなったのが20年1月に放送した、番組史上2人目の300万円獲得者となったSnow Manの阿部亮平の回。収録中に自身の話をし始めたのだという。

「ちょうどグループがCDデビューしたてのときだったんですが、“苦節十年”どころか15年で、周りがスターだらけのなか、自分の個性を伸ばすためにも大学に進学して、勉強ができるキャラクターを築いたという話をしてくれて。それを聞いたら阿部さんをもっと好きになったし、視聴者にも同じ気持ちになってもらえるのではと、方向性が明確になりました」

今年の放送では、「友達への誕生日プレゼントと、イヤホンがほしい」という高校生になった娘のレイラと、まだ芸人としてはくすぶり続けているシングルファザーのコンビ・完熟フレッシュが全問正解したときに、特に反響があったという。芸人とは相性がよく、新型コロナの影響でイベントの仕事がなくなり、給料が前年の20%になってしまったアキラ100%や、根っからの勝負師である一面をのぞかせたマヂカルラブリーの回にも、感想が多数寄せられたそうだ。

恥をかく姿ではなく真剣な姿を

スタッフルームには、小学1年生から6年生までの全出版社の教科書をそろえ、ベテランから若手まで、みんなでくまなくチェックしてクイズを作っているという。クイズのプロではないため、視聴者と同じベースで“微妙に忘れている問題”をピックアップできているとのこと。

「いかに解答者のユニークな発言を引き出せる選択肢を作るかにも、力を入れています。例えば“筑前煮の『筑前』の由来は?”の正解は土地の名前ですが、“人の名前”や“お店の名前”などを入れることで、『筑前和尚とかいそうだな』とか、面白い言葉を引き出せるので」

番組作りのこだわりは、間違えて恥をかく姿ではなく、真剣な姿にフォーカスすること。

「毎週同じフォーマットでも、タレントさんによって全く違うドラマを見られる『相席食堂』(ABCテレビ)が大好きで。この番組でも、挑戦者のオリジナリティーを毎回引き出していくことが目標です」

悩んだときの「救済システム」で、学力テストとオーディションで選ばれた助っ人の小学生がいるのもポイント。知識量と解説がすごい(放送中/金曜午後7時/日本テレビ系。Huluでは過去回も配信中)

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2021年8月号の記事を再構成]

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